2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of grafted fibrous adsorbent having high metal ion recognition ability under super strong alkaline condition
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17K14138
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
植木 悠二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (50446415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 放射線グラフト重合 / 金属吸着材 / 官能基 / 重金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
線幅20 nm以下の配線パターンで回路を形成する先端集積回路(LSI)では、デバイス表面に付着したナノ粒子や分子・原子オーダーの極微小汚染が製品の歩留まりや信頼性に多大な悪影響を与える。特に、エッチング処理に用いるpH 15以上の高濃度アルカリ水溶液では、主成分のナトリウムイオンよりも8桁低いppb(μg/L)オーダーの濃度で溶存している金属イオンでさえ汚染源となるため、不純物濃度を1/1000のppt(ng/L)オーダーまで低減する必要がある。本研究では、放射線グラフト重合技術を駆使し、超強塩基性領域下において極微量の不純物金属イオンを除去可能な金属吸着材の創製を試みる。初年度(H29年度)は、重金属イオンに対して高い選択性を持つ硫黄系配位子を有する金属吸着材の作製を進めた。その結果、(1) ポリエチレン製不織布基材へのメタクリル酸グリシジル(GMA)のグラフト重合、(2) GMAグラフト鎖へのピペラジン基の導入、及び、(3) ピペラジン型グラフト重合体の硫黄系化合物による化学処理といった3段階の合成経路により、硫黄系配位子を有する新規金属吸着材の合成に成功した。作製した硫黄系配位子含有型金属吸着材の性能は、鉛水溶液を用いたバッチ式吸着試験により評価した。吸着材50 mgを100 ppm 鉛水溶液 50 mLに室温にて24時間浸漬した後、水溶液中に残存する鉛濃度をICP-OESにより測定した。その結果、作製した金属吸着材の鉛吸着容量は、0.18 mmol-Pb(II)/g-吸着材となり、鉛イオンに対して良好な金属吸着性能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した検討実験に基づき、硫黄系配位子含有型金属吸着材を作製することに成功した。また、金属吸着試験により、本金属吸着材の有用性を示すことができた。また、各種金属イオンに対する選択性評価試験にも着手しており、概ね順調に研究は進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
合成経路の最適化により、硫黄系配位子含有型金属吸着材の性能向上を目指しつつ、各種金属イオンに対する吸着容量や選択性に関する検討を実施する。また、超強塩基性領域下における金属イオンの溶存形態、並びに、吸着材中における吸着形態を解析し、超強塩基性領域下における金属イオンの吸着機構の解明を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究室で既に所有していた物品(試薬等)を有効活用することにより、当初の予算から減額することができ、次年度使用額が生じた。また、無理して使い切るのではなく、次年度の予算と合わせて使用した方が効率的であると判断したため。 本研究を遂行するためには、モノマー類などの試薬、及び、金属吸着試験用器具などの消耗品類が必要であり、それらの購入に充当する。また、得られた研究成果を学会等で発表するための旅費などに使用する予定である。
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