2018 Fiscal Year Research-status Report
超伝導トンネル接合-超伝導コイル一体構造型X線検出器の開発
Project/Area Number |
17K14141
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 剛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30709598)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超伝導トンネル接合 / X線 / コイル / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、半導体X線検出器の約10倍のエネルギー分解能を有する超伝導トンネル接合(STJ)アレイX線検出器の有感面積を大幅に拡大させるため、X線検出部(STJ部)とSTJの動作に必要な磁場を発生させるコイル部を同一基板上に配置した構造を開発することである。 昨年度整備した有限要素法による3次元磁場シミュレーションを行うための計算システムを用いて、ヘルムホルツコイル中に金属体がある場合の磁場シミュレーションを行った。 STJアレイX線検出器の素子設計としては、昨年度は、1つのSTJに1つのヘルムホルツコイルを配置した構造を設計したが、今年度は、このような構造を縦横5個ずつに配置した25素子アレイ構造を設計した。設計した構造のフォトマスクを作製し、素子の作製を行った。作製した素子を用いたX線検出器が、既に開発済みの超伝導SEM-EDX分析装置への適応が可能なことを実証した。その際、従来の目的である有感面積の拡大に加え、本検出器が、従来の半導体X線検出器と同様のICF70相当のポートへの導入も可能となることが判明し、本構造の優位性が高まった。 来年度は、今年度までの結果をもとに、100素子アレイのSTJ素子に対して、最適なコイルを配置した構造を設計、作製する。その後、X線に対する応答特性を評価し、従来型構造との比較を実施する。更に、開発済みのSEM-EDX分析装置に搭載し、今後の応用での問題点などを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限要素法のシミュレーション結果をもとにした設計、素子作製、作製した素子の特性評価を実施できる環境を構築し、それらを相互的に研究を進めており、当初計画した研究の進め方が実施出来ている。また、成果発信としても2年目までに4件の国際会議での発表(内1件が招待講演)を行っており、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、設計-作製-評価のサイクルで研究を進め、最終年度である来年度は実際の分析装置で使える100素子のアレイ構造を開発する。また、成果も国際会議および論文にて積極的に公開していく。
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Causes of Carryover |
研究費を効率的に使用したために残額が発生した。研究計画遂行のための消耗品費として使用する。
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