2017 Fiscal Year Research-status Report
Multi-physics topology optimisation in periodic domain for design of micro phononic crystals
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17K14146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯盛 浩司 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50638773)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 設計工学 / 計算物理 / 先端機能デバイス / フォノニック結晶 / 周期構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
(具体的内容) 当初の研究計画に基づき、フォノニック結晶のバンド特性を制御するためのトポロジー最適化法の高速化に注力した。バンド特性は、波数ベクトルをパラメータとして得られる数十の固有値問題を解くことにより得られることから、高速トポロジー最適化の実現にあたっては固有値解析の高速化が鍵となる。本研究で用いる境界要素法とSS法に基づく固有値解析法の律速となるのは固有値解析アルゴリズム内で求められる代数方程式の求解である。本研究では、各々の固有値解析の際に現れる代数方程式の係数行列Aの一部分Bが波数ベクトルに依らないことを見出し、このことを利用した代数方程式(群)の高速解法を構築した。すなわち、BのLU分解等を予め計算した上でWoodburyの公式により代数方程式を解く方法を開発した。また、BのLU分解及びWoodburyの公式に現れる各種線形代数演算を階層行列法(Hマトリクス法)を用いてさらに高速化した。以上を二次元Helmholtz方程式のNeumann問題に支配される場に対するトポロジー最適化に組み込み、数値実験を行った。結果として、典型的な例において、トポロジー最適化全体にかかる計算時間を従来法と比較して30%程度の高速化が達成されることを確認した。さらには、開発した高速トポロジー最適化法を用いて、フルバンドギャップ幅の最大化問題のみならず局在モードの発生する周波数を制御する最適設計問題を解けることを確認した。また、当初はH30年度に実施する予定であった音響ダイオードの最適設計法の開発も行いダイオード特性が0.9を超える音響ダイオードの最適設計を行うことができた。
(意義と重要性) 境界要素法とSS法の組み合わせによる高精度なバンド解析法は新規であるのみならず、ここで用いた区分行列に基づくアプローチは様々な問題へ応用できる可能性があることから、計算科学的に意義深いといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、SS法と境界要素法に基づく固有値解析法を区分行列を用いた方法により高速化することに成功した。開発した高速固有値解析法に基づき、フルバンドギャップ幅の最大化問題及び局在モードの位置を制御する最適設計問題を解き、その有効性を確認できた。さらには、当初H30年度に実施する予定であった音響ダイオードの最適設計法のプロトタイプ版はすでに完成し、高いダイオード特性を持つ音響ダイオードを設計することに成功した。以上より、研究は順調に進展していると判断できる。一方で、これらの成果の公表は未だ準備中であることから、最上位の評価とはしなかった。今後、結果をまとめ、国際誌へと投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は主に以下の二点に関する研究を実施する予定である。
(1) バンド特性のトポロジー最適化法の高度化: H29年度は2次元Helmholtz方程式のNeumann境界値問題を例題として取り扱ったが、本研究の最終目標であるマルチフィジックス問題への応用のためには種々の境界値問題に対するバンド特性を制御することが必要である。H30年度は2次元動弾性問題や3次元問題に対する数値計算コードを開発する予定である。(2) 音響ダイオードの性能向上: 波動の持つの相反性のため、音響ダイオードが通常の材料(線形、均質、粘性のない弾性体など)からなる場合には透過波の伝播する方向は入射波のそれとは異なる。そこで、本年度は材料に関する制約を緩和し、非相反的な特性を示す波動デバイスの最適設計を試みる。
さらには、トポロジー導関数のみならず形状導関数を併用した新しい最適設計法の試み、板曲げ波などのこれまでとは異なる場におけるトポロジー最適化への展開などの検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度への繰り越しが生じたのは、予定していた性能のワークステーションが想定よりも安価に購入できたことによる。次年度、3次元問題などのより大規模な計算を行うにあたり、メモリの増強に使用する予定である。
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Research Products
(22 results)