2017 Fiscal Year Research-status Report
Reformulation and expanding application of the Sinc methods
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17K14147
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
岡山 友昭 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (80587866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,解析的な関数に対する超高性能数値計算法であるSinc法を改良し,また適用範囲を拡大していくことである.自然科学・工学では,扱う対象が解析的な関数であることが多く,この場合は既存の汎用手法に比べSinc法が非常に高性能であることが知られている.そこで本研究では,このSinc法をさらに改良し適用範囲を拡大すべく,提案されているSinc法に基づく数値計算法に対し(a)連立系への拡張,(b)Sinc法と組み合わせる変数変換の改善,(c)精度保証付き数値計算法の開発,等について研究を行う.この際,現状のSinc法の手法をナイーブに拡張していくと実装が煩雑化してしまう部分があるため,その難点の解消のためにSinc法の再定式化を行うことが一つのポイントとなる. 平成29年度は,微分方程式の初期値問題をSinc法に基づいて解くSinc-Nystroem法とSinc選点法という二つの方法に対し,連立系への拡張およびその理論誤差解析を行った.これらの方法は微分方程式を変形してVolterra積分方程式という方程式に帰着して設計されたものであるため,この成果をもとにVolterra積分方程式に対するSinc-Nystroem法やSinc選点法にも今後結果が拡張できるものと期待される. またこれらは初期点を端点とするある有限区間で解くことを前提にしたものであるが,初期点より先の半無限区間全体で近似解を求めるSinc-Nystroem法も提案されていた.ただし組み合わせる変数変換に改善の余地があり,(i)収束性能が向上する,(ii)逆関数が初等関数を用いて表せる,等の性質をもつ変数変換に改良を行った. さらに,半無限区間におけるSinc法に基づいた不定積分近似法の改良・精度保証のための理論誤差評価,ガンマ関数に対するSinc法に基づいた精度保証付き数値計算法の改良などを行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目標である,Sinc法に基づく数値計算法に対する (a)連立系への拡張, (b)Sinc法と組み合わせる変数変換の改善, (c)精度保証付き数値計算法の開発, についてそれぞれ成果を挙げており,さらにVolterra微積分方程式に対するSinc法に基づく数値計算法の改良や理論解析,片側急減数関数に対する無限積分の近似公式の改良なども行い,さらなる成果を積み重ねている. また並行して,Sinc法の性能を超える超高性能数値計算法を鋭意開発中である.
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Strategy for Future Research Activity |
初期点より先の半無限区間全体で近似解を求めるSinc-Nystroem法の改善を行ったが,それに対する理論誤差解析はまだ行われていない.そのため,理論誤差解析を行う予定である.さらに,Sinc-Nystroem法には特殊関数の計算が必要であり計算に時間がかかるという欠点があるため,その欠点をなくすためにSinc選点法の開発を行う. また,片側急減数関数に対する無限積分の近似公式をさらに改良し,精度保証付き数値計算のための理論誤差評価を与えることも予定している.
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