2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14158
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
馬 昭平 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80633255)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モジュラー多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ジーゲルモジュラー多様体上の普遍アーベル多様体やそのコンパクト化の上の多重標準形式とジーゲルモジュラー形式の対応を与えた。より正確には、gをジーゲルモジュラー多様体の種数、wを久我族のファイバー積の回数とすると、久我族上の多重標準形式の環と重さがg+w+1で割り切れるジーゲルモジュラー形式の環が自然に同型であることを証明した。そして久我族のコンパクト化がトロイダルコンパクト化によい射を持つとき、この同型がコンパクト化の対数的多重標準形式の環との同型に拡張することを証明した。これは楕円モジュラー曲面に対する古典的な塩田の定理の高次元版を与える。同じ原理に基づいた議論によって久我族の小平次元の評価も得た。その結果、ファイバー積の回数を増やしていけばそのうちに久我族の小平次元がg(g+1)/2で停止することがわかった。また、久我族の特異点も調べ、ほとんどのケースで標準特異点であることを確かめた。
(2)古典的なモジュラー多様体(ジーゲルモジュラー多様体、直交型モジュラー多様体、エルミート型モジュラー多様体)について、ベーリー・ボレルコンパクト化の2つの同次元のカスプが、ベーリーボレルコンパクト化の有理係数のチャウ群において線形従属であることを証明した。これは1変数の場合の古典的なマニン・ドリンフェルトの定理の高次元版を与える。特に、最高次元の2つのカスプの対から、モジュラー単元の高次元版として、モジュラー多様体の高次チャウ群の元が得られることを観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幸運にも、短期的視野の成果主義や管理者のための管理主義のプレッシャーをあまり受けなかったため、自分のペースで数学できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
普遍的K3曲面上の多重標準形式と直交型モジュラー形式の対応を考察する。K3曲面の場合は(-2)ヘーグナー因子上の族において分岐因子が生ずるのが特徴かと思われる。対応して、モジュラー形式に対しては(-2)ヘーグナー因子において零位数の条件が出てきそうである。また、普遍的K3曲面の特異点も考察したい。
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Causes of Carryover |
節約できたため端数の残額が生じた。次年度の研究集会への出席の旅費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)