2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K14159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 祐介 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (20783096)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非可換特異点解消 / 非可換クレパント特異点解消 / 極大Cohen-Macaulay加群 / トーリック環 / 日比環 / 正標数の可換環論 |
Outline of Annual Research Achievements |
可換環R上の加群の自己準同型環の大域次元が有限となるとき、この自己準同型環をRの非可換特異点解消と呼ぶ。トーリック環(トーリック特異点)の場合、conicと呼ばれる性質を持つ加群を、すべて直和したものを考えれば、その自己準同型環が非可換特異点解消となる。また、いくつかのトーリック環に対しては、一部のconic加群の直和を取ることによって、非可換クレパント特異点解消という、より強い性質を持った非可換代数が得られることが知られている。一方、conic加群は、正標数の可換環論でも重要である。特に、トーリック環のフロベニウス直像の構造は、conic加群を用いて記述できることが知られている。昨年度までに行なったトーリック環の非可換(クレパント)特異点解消の研究により、conic加群への理解が進んだため、今年度は、その結果を正標数の可換環論に応用した。
東谷章弘氏との共同研究(arXiv: :1911.08720)では、日比環と呼ばれる特別なトーリック環について、フロベニウス直像の構造を考察した。特に、そこから得られる(一般化された)F-signatureという不変量の値を決定した。その結果、F-signatureと対称群との関係を見出し、正標数の環の不変量に関して新たな視点を与えた。
また、Jack Jeffries氏, Ilya Smirnov氏, 渡辺敬一氏, 吉田健一氏との共同研究(arXiv:2002.06166)では、F-signatureに加え、Hilbert-Kunz重複度と呼ばれる不変量についても考察し、これら不変量の上限・下限に関する結果を得た。さらに、トーリック環の場合に、conic加群の個数とF-signatureの取り得る値の関係について、詳細な考察を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トーリック環の非可換特異点解消を軸に研究し、関連する話題への応用を見い出すことが出来たため(arXiv: :1911.08720, arXiv:2002.06166)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られた、高次元トーリック環の非可換(クレパント)特異点解消に引き続き注目し、その表現論的な性質を考察していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月に参加を予定していた研究集会が、中止となったため。来年度に開催される別の研究会にて、研究成果発表を行う予定である。
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