2017 Fiscal Year Research-status Report
トーリック多様体の双対欠損の組合せ論的記述に関する研究
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17K14162
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (90712240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シジジー / 代数ビジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,代数ビジョンとアーベル曲面のシジジーについて以下のような研究を行った.
(1)代数幾何の手法を用いたコンピュータビジョンの研究(代数ビジョンと呼ばれることもある)に関連することを調べた.コンピュータビジョンにおいて,「カメラ」とは3次元実射影空間から2次元実射影空間への線形射影(もしくはそれを適当に行列表示したもの)であるとみなされる.コンピュータビジョンの研究者であるHartley氏,Schaffalitzky氏により,いくつかの画像からもともとの3次元の形状を復元する,といった有る種の再構成定理(およびその高次元版)が行列の具体的な計算を用いて証明されていた.三浦真人氏(韓国高等科学院),植田一石氏(東京大学)との共同研究で,その再構成定理の代数幾何的な別証明を与えた.
(2)アーベル曲面上のシジジーについても研究を行った.代数多様体の射影空間への埋め込みが与えられた時,その定義多項式の間の関係式やその関係式の間の関係式等はシジジーと呼ばれる.「n番目までのシジジーが単純になる」とき,その埋め込みは条件(N_n)を満たすという.一般にこの条件が満たされるかどうかを確認するのは容易でないことが多いが,アーベル多様体の場合は比較的よくわかっている.アーベル曲面の場合に適当な数値的条件のもと条件(N_n)が満たされるという結果が知られていたが,当該年度はその数値的条件を少し弱めることが出来た.結果的に証明も簡潔になったと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はトーリック多様体の双対欠損などの射影幾何を研究していたところ,当初予定していなかった代数ビジョンやアーベル曲面のシジジーについての研究が進んだため.
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Strategy for Future Research Activity |
正の双対欠損をもつ標数0の体上のトーリック多様体については,サーキットという概念を用いた特徴付けも知られている.今後サーキットとケーリー構造の関係を,特に正標数の場合に調べるつもりである.
また本年度得られたアーベル曲面の結果の高次元への拡張を考える.まずは3次元の場合を詳しく調べる予定である.
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