2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14171
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐野 昂迪 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30794698)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | オイラー系 / コリヴァギン系 / Rubin-Stark元 / Perrin-Riou予想 / ゼータ元 |
Outline of Annual Research Achievements |
高階オイラー・コリヴァギン系の理論の構築を、King's College LondonのDavid Burns氏、東京大学の坂本龍太郎氏との共同研究で、引き続き行った。前年度までの研究で一般論の構築はほぼ完成していたが、一般論を適用するための標準的な仮定がどのような場合に満たされるかについては十分に考察を行っていなかった。今年度はその点について研究を行い、すでに作り上げた一般論の応用を中心に研究を進めた。特にRubin-Stark元のオイラー系に関する応用としては、過去のBuyukboduk氏の結果の一般化・改良を得ることができた。楕円曲線の加藤のオイラー系に関する応用として、BSD元という新しい概念を導入することでPerrin-Riouの予想の自然な一般化を定式化し、また加藤のゼータ元とセルマー群のFittingイデアルの関係に関する新しい結果を得ることができた。 また、もう一つの応用として、Mazur-Rubinと私により定式化された予想(MRS予想)に関する統一的な新しい結果を得ることができた。ここで用いた手法は、Mazur-Rubinが数年前にDarmon予想の大部分を解決した際に用いた手法の高階版である。MRS予想は高階の場合はこれまで散発的な場合にしか証明されていなかったが、我々は高階オイラー・コリヴァギン系の理論の一つの応用として多くの場合に統一的に証明した。 もう一つの研究として、Burns氏とKing's College LondonのKwok-Wing Tsoi氏との共同研究で、Rubin-Stark元の一般化・抽象化である「高階特殊元」に関する研究を行った。これは基本的には過去にBurns氏と慶應義塾大学の栗原将人氏との共同研究で構築した理論の一般化・抽象化である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた研究については、当初から計画していたもので、全て達成できたため。また、それ以外に、加藤のオイラー系に対するMRS予想の類似の研究が進み、Perrin-Riou予想、p進BSD予想、Mazur-Tate予想などとの関係について多くの新しいことがわかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
高階オイラー・コリヴァギン系の理論の構築は一段落としたと言える。今後は加藤のオイラー系に対するMRS予想の類似、それとPerrin-Riou予想、p進BSD予想、Mazur-Tate予想との関係、また肥田理論やHeegner点との関係など、これまでとは違う新しい領域で研究を進めることができると期待している。Burns氏と栗原氏との共同研究で行った「一般Stark元」の研究はより一般のモチーフに対する設定に一般化できることがわかり、explicit reciprocity lawやColeman理論を新しい視点で解釈できることも期待される。このように研究を進めることができると思われる対象はまだ多くあり、それらを一つずつ着実に完成させていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
King's College LondonのDavid Burns教授と共同研究をしており、当初はロンドンへの旅費として科研費の大半を使用する予定だったが、海外特別研究員に採用され、その必要がなくなったため。
|