2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14171
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐野 昂迪 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30794698)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オイラー系 / 岩澤主予想 / 楕円曲線 / 非可換 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度に行った研究は大まかに次の4つのテーマに分けられる:Coleman予想の一般化、楕円曲線のKatoのzeta元に対するMazur-Rubin-Sano予想の一般化、オイラー系の関数等式、非可換オイラー系。まず、Coleman予想とは、有理数体上の(乗法群の)オイラー系は本質的に全て円単数である、という予想だが、Burns, Daoud, Seoとの共同研究で、これを一般の代数体上に一般化することができた。この定式化には、以前Burnsとの共同研究で導入した「垂直系」が重要な役割を果たす。次に、楕円曲線のKatoのzeta元に対するMazur-Rubin-Sano予想の一般化については、Burns, Kuriharaとの共同研究で定式化することができ、Perrin-Riou予想との関係、p進Birch-Swinnerton-Dyer予想との関係、岩澤主予想と(複素)Birch-Swinnerton-Dyer予想との関係などについて詳しく考察し、今後の研究の土台になると思われる基礎理論を築き上げることができた。オイラー系の関数等式については、「垂直系の関数等式」と呼べるものを証明し、その応用としてDeligne-Ribetのp進L関数と関係する高階オイラー系の自然な構成、Coleman-Iharaの公式の一般化の定式化を得た。最後に、非可換オイラー系について、Burnsとの共同研究で、非可換高次Fittingイデアル、非可換外積、非可換Rubin格子、(Deligneの仮想対象を用いない具体的な)非可換デターミナント関手など様々な新しい概念を導入し、以前のBurnsとの共同研究で可換の場合に得られていた結果を非可換の場合に自然に一般化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していなかった非可換オイラー系について満足できる形で研究を完成させることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず非可換オイラー系に関する研究をさらに進める。具体的には、Burnsとの共同研究で得られた具体的な非可換デターミナント関手と同変玉河数予想との関係をはっきりさせることと、Mazur-Rubin-Sano予想の非可換版を定式化することが目的である。また、Burns, Kuriharaとの共同研究で得られたKatoのzeta元に対するMazur-Rubin-Sano予想の一般化については、さらに一般のモチーフに対する一般化、Heegner点に対する類似、肥田理論版などについても研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
日本学術振興会海外特別研究員として2018年9月から2020年8月末までイギリスに出張中で、旅費にかかる費用が当初計画していたものと大幅に変更されたため。今後も主に旅費に使用する予定だが、コロナウイルスの影響で多くの研究集会が中止となったため、使用計画は未定である。
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Research Products
(11 results)