2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
並川 健一 九州大学, 数理学研究院, 助教 (10757066)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数論 / 岩澤理論 / L関数 / 保型表現 / p進L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 前年度に引き続いて, GL(3)×GL(2)のRankin-Selberg のp進L関数の構成に向けた研究を行なった. 前年度すでにGL(3)のEichler-志村写像を書き下していたので, これの応用として, 基礎体が有理数体(より一般に総実体)の場合に, GL(3)×GL(2)のRankin-Selberg のL関数の臨界値の代数性を示し, さらに無限素点における局所積分の明示公式を書き下した. この結果により, GL(3)×GL(2)の場合に, Kummer型の合同式を保型表現の言語で定式化出来た. またこの明示式の系として, Raghuram-Shahidiにより定義されたWhittaker周期を, 吉田によるモチーフの基本周期で書き下す式を得た. これらの結果は一編の論文にまとめ, 投稿した (原隆(津田塾大学)との共著). (2) (1)での研究のうち, とくに周期の関係について, 一般のGL(n+1)×GL(n)の場合に研究した. 無限素点における局所積分の明示公式を仮定すると, 一般の場合でもWhittaker周期を基本周期で書き下すことが出来た. とくに基礎体が総虚体の場合は, 石井-宮崎により局所積分の明示公式が得られているので, この場合の周期関係式の証明が得られたこととなる. この結果をまとめた論文は準備中である (原隆(津田塾大学)との共著). (3) 上述の石井-宮崎による局所積分の明示公式の応用として, 基礎体が総虚の場合にRankin-Selberg L関数のコホモロジー的解釈を研究し, 一般のGL(n+1)×GL(n)の場合でも(1)と同様の明示公式を得られる見通しをつけた. 現状, 定式化, および議論の細部を確認している (原隆(津田塾大学), 宮崎直(北里大学)との共同研究).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は, 研究課題に掲げた浅井L関数の研究のうち, 浅井L関数との類似の追求として行なった. 今年度の研究の視点は, 当初の期待よりもRankin-Selberg L関数の研究に有用であることが分かった. 周期関係式のように研究計画を立てた段階では想定していなかった結果も得ることが出来た. よって, 進捗状況としては“おおむね順調”とするのが妥当と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き周期積分の応用を研究していく. とくに今年度は代数性について一定の目処をつけることが出来たので, 今後はGL(3), GSp(4)の場合など, p進L関数の研究に注力していく.
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Causes of Carryover |
COVID-19により, 予定していた出張を行うことが出来なかった. 次年度使用金については, 今後の状況を見極めつつ, 出張費や研究資料の拡充に当てる.
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Research Products
(2 results)