2017 Fiscal Year Research-status Report
有限次元多元環のホッホシルトコホモロジーのBV-構造についての研究
Project/Area Number |
17K14175
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
板垣 智洋 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (80756487)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホッホシルトコホモロジー / BV-構造 / フロベニウス多元環 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度における計画は、ホッホシルトコホモロジー環のBatalin-Vilkovisky構造(BV-構造)の具体計算例を増やすことを目的とし、中山自己同型が半単純であるフロベニウス多元環の具体的なクラスに対するホッホシルトコホモロジー環のBV構造の具体計算を行うことであった。特に、自己入射中山多元環に対して、そのホッホシルトコホモロジー環のBV-構造を具体的に決定することであった。今年度は、代数的閉体上の中山自己同型が半単純である自己入射中山多元環を対象に、そのホッホシルトコホモロジーのBV-構造を決定することができた。特に、自己入射中山多元環のホッホシルトコホモロジー環の構造は[Bardzell-Locateli-Marcos, 2000]において、生成元とその間の積と関係を定めることによって得られている。Bardzell(1997)による射影分解とbar resolutionの間の複体の準同型を用いることによって、コホモロジー群の各次数における基底に対してBV-differentialによる像をそれぞれ決定し、BV-構造の精密な表示を得ることができた。また、BV-構造からGerstenhaber algebraの構造も決定した。具体的には、Gerstenhaber bracketが零写像になることが分かった。また、中山自己同型が半単純でない自己入射多元環に対しては、Volkov(2016)によって導入されたコホモロジー環を計算し、そのBV-構造の具体的な表示を得ることができた。このコホモロジーに関してもGerstenhaber bracketが零写像になることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画に沿って、中山自己同型が半単純である自己入射中山多元環のホッホシルトコホモロジーのBatalin-Vilkovisky構造(BV-構造)を具体的に決定することができたため、おおむね順調に進展していると考えている。また、中山自己同型が半単純でない場合についても中山自己同型から得られるコホモロジーのBV-構造を具体的に決定することができたことは、中山自己同型が半単純でない場合のフロベニウス多元環に対して、そのホッホシルトコホモロジー上でBV-構造の存在を考える上でも重要な手掛かりになると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
フロベニウス多元環のホッホシルトコホモロジーのBatalin-Vilkovisky構造の具体計算例はまだまだ少ない。今後は他のフロベニウス多元環のクラスに対して、そのホッホシルトコホモロジー環のBV-構造の具体計算を行い、ホッホシルトコホモロジーを得るために構成した射影分解との関係を考察する。
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Causes of Carryover |
当初の計画であったドイツのシュトゥットガルト大学への在外研究において、大学内の研究費を使用したため、次年度使用額が生じた。次年度では、シュトゥットガルト大学へ研究滞在費に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)