2019 Fiscal Year Research-status Report
有限次元多元環のホッホシルトコホモロジーのBV-構造についての研究
Project/Area Number |
17K14175
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
板垣 智洋 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (80756487)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホッホシルトコホモロジー / BV-構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
多元環のホッホシルトコホモロジー上のリー代数構造が存在することが知られており、Gerstenhaber 構造とよばれている。対称多元環や中山自己同型が半単純なフロベニウス多元環などの一部の多元環に対して、そのホッホシルトコホモロジー上に、Gerstenhaber 構造を誘導するBatalin-Vilkovisky構造(BV-構造)が存在することが発見された。対称多元環に関してはホッホシルトコホモロジー上のBV-構造は導来同値の不変量となっており、多元環の表現論においてその重要性が認識されている。 本研究課題の目的は、多元環のホッホシルトコホモロジー上におけるGerstenhaber 構造を誘導するBV-構造の存在の解明とその構造を研究するための手法を開発することが目的である。 本年度の計画は、中山自己同型が半単純でない自己入射的中山多元環のホッホシルトコホモロジー上のBV-構造の存在性の考察と多項式増大表現型の対称多元環のホッホシルトコホモロジー上のBV-構造の計算を行うことだった。 本年度は、2点の巡回クイバーと長さが4の道によって定まる自己入射的中山多元環に関して、中山自己同型が半単純でない場合、すなわち係数体の標数が2の場合について、そのホッホシルトコホモロジー上にGerstenhaber bracketを誘導するBV-構造が得ることができた。また、前年度ホッホシルトコホモロジー環の具体計算を行った多項式増大型の対称多元環について、そのホッホシルトコホモロジー上のBV-構造を決定し、BV-構造の具体計算例を得ることができた。この研究は長岡工業高等専門学校の鯉江秀行氏、華東師範大学のGuodong Zhou氏とWeiguo Lyu氏と共同で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半単純でない中山自己同型をもつ自己入射的中山多元環のホッホシルトコホモロジー上のBV-構造の存在性の考察はおくれているものの、対称多元環のホッホシルトコホモロジー上のBV-構造の具体計算例を得ることができたのでおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の目標は、ホッホシルトコホモロジー上にBV-構造が存在する多元環のクラスを広げることである。一般に半単純でない中山自己同型をもつフロベニウス多元環のホッホシルトコホモロジーがBV-構造をもつことは知られていない。しかしながら、半単純でない中山自己同型をもつ自己入射的中山多元環で、そのホッホシルトコホモロジーがBV-構造をもつ例を得ることができたので、半単純でない中山自己同型をもつ自己入射的中山多元環のホッホシルトコホモロジー上のBV-構造へ拡張することをまずは目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は2019年度の配分額をおおむね計画通りに使用したものの、予定していた一部の研究集会への参加や国際研究集会への参加を見合わせたため次年度使用額が生じた。次年度使用額の使用計画としては、研究打ち合わせの機会を多くもつ予定であり、そのための旅費に使用する計画である。
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