2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14178
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 亮吉 東北大学, 理学研究科, 助教 (80629759)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 離散群 / 調和関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
主たる研究テーマは, 離散群に関わるポテンシャル論とエルゴード理論である. 離散群としては, 双曲群と初等的従順群という2つの異なるクラスを扱っている. 本年度は主に, 初等的従順群に関わる研究を行った. このクラスの群は, ポテンシャル論における未解決問題と関わって, 近年活発に研究されている. 特に, 有界調和関数の非存在(Liouville性)がCayleyグラフの取り方に寄らず, 離散群の性質として定義できるかという問題は基本的な未解決問題である. この問題において, 主要なクラスをなすのが, 従順群で体積増大度が指数関数的なものである. 我々はこのクラスの群の研究の一環として, 離散アファイン群という新しい群を導入した(J'er'emie Brieussel (Universit'e de Montpellier)とTianyi Zheng (University of California, San Diego)との共同研究). 離散アファイン群は正則ツリーの自己同型部分群として定義され, 双曲平面における放物型部分群(実数体のアファイン群)の離散アナログである. ツリーの離散的な性格上, 放物型部分群に対応する群のヴァラエティーは(双曲平面とは違った意味で)豊富である. 離散アファイン群は, 双曲平面でその類似がない, ツリー特有の性質を反映している. 我々は, この離散アファイン群の群としての基本的な性質を明らかにし, また(すべての対称生成系についての)非Liouville性を示し, さらにPoisson境界の決定を行った. 一方で, 双曲群の研究も継続して行っている. 特にGromov境界に現れる調和測度の性質についてハウスドルフ次元を詳しく調べている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散上の調和関数に関わる問題について, 従順群と非従順群の双方で一定の結果が着実に得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の研究計画通りに進めていく. 具体的には, 本年度は双曲群に関する研究を進める.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は旅費の差額分である. これは次年度旅費に使用する.
|