2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14178
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 亮吉 東北大学, 理学研究科, 助教 (80629759)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 離散群論 / ランダムウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は測地的グロモフ双曲空間に作用する群(例えばクライン群)に付随するランダムウォークを考え, 無限遠境界に定義される調和測度のハウスドルフ次元について, その次元公式を証明した. ランダムウォークが1次のモーメントを持つという仮定の下で, 次元はエントロピーとドリフトの比と等しくなる. このタイプの公式は微分可能力学系においてLedrappier-Young公式として研究されており, 我々の公式はそのランダムウォーク版として部分的な結果がいくつか知られていたものである. 1次モーメント条件がドリフト(とエントロピー)の存在する最も一般的な条件であり, この条件下で次元公式を証明した.これによって調和測度の次元がランダムウォークを定義するステップ分布について連続関数であることを一般的に証明することができた. また, 実数直線(やより一般に局所体)のアファイン変換群の離散類似である「離散アファイン群」を導入した. これは正則ツリーのアファイン変換群のある有限生成部分群である. 連続版のアファイン群にはない非Liouville性(ポアソン境界の非自明性)がある. 我々はモンペリエ大学のJeremie Brieussel氏とカリフォルニア大学サンディエゴ校のTianyi Zheng氏との共同研究で, この群上のランダムウォークについてポアソン境界の決定を行った. またヒルベルト圧縮定数やそれを含む$L_p$圧縮定数$(1\le p<\infty)$の値を決定した. 等周不等式の漸近型の決定も行った. またランダムウォークによって調和測度が互いに特異になる場合があることを具体的にランダムウォークを構成することで証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の離散群上の調和関数あるいは調和測度に関わる研究において, 双曲空間に作用する群と従順群という異なる2つのクラスの群について成果を得ることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を踏まえ, 本来の計画通りに研究を進めていく予定である.
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