2017 Fiscal Year Research-status Report
圏を用いた空間の組合せ的ホモトピー論とセンサーネットワークへの応用に関する研究
Project/Area Number |
17K14183
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 康平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 助教 (70708362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Topological complexity / オイラー標数 / L-S category / Small category / Motion planning / Finite space / Simplicial complex |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、組合せ論的手法による位相幾何学の理論構築とその応用の推進を目指している。研究開始の今年度では主に、古典的な位相不変量の組合せ論的な計算方法を開発した。まず組合せ構造を持つ位相空間の位相不変量として、topological complexityの離散化を考え、細分を細かくすることで従来のtopological complexityに近似できることを示した。このtopological complexityはロボットの動きを制御するアルゴリズムにも応用が期待されており、離散的な計算方法の確立はコンピューターによる計算ソフトの実装に貢献するものと考えている。 Topological complexityと密接にかかわる不変量としてL-S categoryが知られている。これは空間が何個のボールで覆えるかという非常に素朴な定量であるが、その計算は容易ではない。本研究では、点と矢印からなる圏を用いて、L-S categoryの組合せ論的な計算方法を提示した。具体的には、圏の細分の概念を用いて、多面体のL-S categoryに収束する組合せ論的不変量を導入した。 オイラー標数の代数的・組合せ論的な計算方法はすでに隣接行列と逆行列の計算によって求まることが知られているが、本研究では有限群の作用を踏まえた計算式の導出に着手した。古典的には有限群の作用する多様体のオイラー標数の公式が知られているため、それに合致することを目指している。いくつかの簡単な例では公式を満たすことを確認し、作用がよい条件を満たす場合にも公式が成り立つことを示した。一般的な作用の場合には、作用により固定される部分の振る舞いを十分に考察する必要があり、引き続き研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面での整備が順調に進み、いくつかの位相不変量に対する組合せ論的なアプローチを発見できたことが理由に挙げられる。群作用を込めた場合にも着手しており、応用への足掛かりとなる研究も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
対称性を持つtopological complexityの組合せ論的アプローチを進めたい。また、有限群の作用する空間や圏の組合せ論的オイラー標数の計算式を示し、群作用を持つセンサーネットワーク上での数え上げ理論の定式化を目指す。
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