2021 Fiscal Year Research-status Report
埋め込み解析とホモトピー代数を用いた埋め込みの空間の研究
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17K14192
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森谷 駿二 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40583464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Vassiliev-Sinha スペクトル系列 / long knot / embedding calculus |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の論文の改訂、投稿などを行った。また、次元2の場合のSinhaのコホモロジースペクトル系列(次元4以上の場合はlong knotのコホモロジーに収束する)が退化しないことの証明をある程度書き下した。これは実質的にSalvatoreによって既に得られている結果だが、fat diagonalを使ったSinhaの余単体モデルの変形を用いた別証明を書いた。これは特定の元に対する2次微分の計算で、筆者としてはサイクルをバウンドするチェインの構成が容易だという利点があると考えている。また、2020年度に同様の方法で次元が3の場合にSinhaのモデルのformalityに対する障害類の候補を構成したが、これは自明になる事が分かった。上記の2次元の場合の計算自体は2020年度に得られていたが、証明を書き下すうちに技術的な簡略化(オペラッドの代わりに、パーティションのポセットを使うなど)が得られ、それによって新しい方針を立てることができた。 それは3次元の場合に3次の微分を一般的に計算し、それが0になるための組み合わせ論的な十分条件を与えることである。上記のfat diagonalによるモデルを用いれば、3次の微分を定義に従って具体的に追跡することが可能であると思われる。スペクトル系列のE1項の元はグラフmodulo 3Tで表すことができるので、このグラフの言葉で微分が消える十分条件を与えることを目標として、現在まで研究を進めてきた。現在は微分の記述を具退化している途上の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非常勤で担当している大学のオンライン授業の負担が大きかったことが主な原因である。また、以前に執筆した論文の再投稿のための改訂にも思った以上に時間がかかってしまったことも原因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
主に「研究実績の概要」で述べた、Sinhaのスペクトル系列の3次微分の計算、それが消えるための組み合わせ論的な十分条件の研究を進める。良い条件が得られたら、より高次の微分に拡張する予定である。これには筆者が構成したfat diagonalを用いたSinhaのモデルの変形版を用いる。また、この研究の進捗次第であるが、以前に構成した多様体の中の結び目の空間に関するコホモロジースペクトル系列に作用素を付加する研究も並行して行う。このスペクトル系列は、配置空間に関するBendersky-Gitlerのスペクトル系列と結び目に関するSinhaのスペクトル系列を組み合わせたものだが、Bendersky-Gitlerのスペクトル系列自体積やスティーンロッド作用素の付加はまだ行われていないと思われるため、まずはテストケースとしてこれに作用素の付加を行う。これ自体配置空間の研究に応用が期待される。筆者が構成した環スペクトラムを用いれば原理的にはこのような作用素の付加は可能で、スペクトラとチェイン複体のモノイダル積の比較などの技術的な問題の解決が主な課題となる。これにはいくつかの先行研究が存在するので参考にして進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍のためオンライン授業などの負担が大きく研究を思うように進めることができなかったため、書籍の購入などがなかったこと、対面の研究集会があまり開催されず、出張の機会がなかったことなどである。2022年度もコロナ禍が収束するかは見通せないが、研究以外に割く時間を可能な限り圧縮し、研究を進め、必要な書籍などを購入し、視野を広げるために研究集会に参加する予定である。
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