2022 Fiscal Year Research-status Report
埋め込み解析とホモトピー代数を用いた埋め込みの空間の研究
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17K14192
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森谷 駿二 大阪公立大学, 数学研究所, 特別研究員 (40583464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結び目の空間 / Vassiliev-Sinha スペクトル系列 / 埋め込みの微積分 / オペラッド |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、long knotのコホモロジーに関するSinhaのスペクトル系列の微分の計算を行った。有理係数ではこのスペクトル系列の高次微分は消えることが知られているので、正標数における計算が主な目的である。具体的な成果としては、余次元1の場合のlong knot modulo immersion の空間のコホモロジーに関するスペクトル系列の高次微分が標数2、標数3で消えないことを示した。余次元1の場合は、このスペクトル系列が幾何学的に意味のあるものに収束するかどうかすら不明であり、主に興味を持たれているのは余次元2以上の場合である。実際、この研究のモチベーションも余次元2以上の場合に向けての予備調査であった。(余次元1の場合は、次数理由で消える元が少ない、有理係数での退化が知られていないなどの理由で新しい計算例が得られやすいという利点があった。) ただ、この結果から1次元小円盤オペラッドから2次元小円盤オペラッドへの標準的な射が(対称群の作用を考えない)非対称オペラッドの射として標数3で非形式的であることが得られた。標数3における非対称オペラッドの(相対)形式性が得られたのはこれが初と思われる。上記の結果のうち標数2の場合は、Salvatoreによって(双対のホモロジーの文脈で)先行して得られていたが、筆者の結果は(標数3の場合も含め)コホモロジーを用いて微分が消えない元を非常に簡明なグラフの組み合わせの形で与えた点に特徴がある。上記の結果を証明するのに、以前の論文で得た配置空間とFat diagonalとの双対性を用いた。この結果に関する論文を執筆しarXivにて公開した。また、以前に書いた論文を改訂し、論文誌に投稿した結果、アクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定した研究の方向性とはやや異なるが、筆者の研究分野の基本的な対象に対して少し新しい知見が得られた。また、余次元1の場合の研究を通して余次元2以上の場合でも計算できそうな元を得る方法を見つけたように思われる。以上の理由で研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2022年度に得られた知見を活かして余次元2以上の場合のSinhaのスペクトル系列の高次微分の計算を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス禍で出張ができなかったため次年度使用額が生じた。次年度は研究集会などに参加する予定である。
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