2017 Fiscal Year Research-status Report
Constructing exact solutions to discrete and ultradiscrete equations by studying combinatorial structure.
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17K14199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 庸一 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任助教 (40584793)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セルオートマトン / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
Max, ±演算のみから構成される方程式(超離散方程式系)について、その厳密解を求める研究を行っている。これまで解が初期値について2つの自由度を持ち、かつLaurent性を持つ超離散方程式系の初期値問題について、解を凸多角形に対応させ、方程式を凸多角形間の関係式に置き換えることにより厳密解を得ることを行った。平成29年度はその延長として解が4自由度を持つLaurent性を持つ常差分超離散方程式系の初期値問題について解を4次元凸多面体で表すことで、任意の初期値に対する解を数値的に計算する方法を構成した。 当初計画に則って超離散Somos-6, 7方程式にこの方法を適用し解の数値計算の結果から厳密解を得ようとしたが、数値計算の結果これまでと同様のアプローチでは厳密解を記述することが不可能であることが判明した。これは方程式が持つ性質に起因し、本質的に回避が難しい問題であると考えられる。対応する離散方程式系についての先行研究を改めて調べることにより突破口を見いだしたい。 一方で我々の考えたこのアプローチはより一般的な超離散方程式系に対しても応用可能であるため、それらの方程式を調べることで新たな結果が得られるかを検討したい。例えば2階のあるクラスの超離散方程式系に対しては既に先行研究として任意の初期値に対して解がどのような挙動を示すかの分類が成されているが、それを4階にした方程式系に関して、例えば周期性を持つものがどのくらい存在するかということすらよく知られていない。この問題に対して、我々のアプローチを適用し例えば解が周期性を持つことを示すことで方法の有用性を示していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象とする方程式がこれまでと同じLaurent性を持つ可積分方程式から得られる方程式ではあるため、従来のアプローチをそのまま適用すれば厳密解が得られると予想していたが、それに反してこれまでと同様のアプローチでは厳密解を記述することが不可能であることが判明したためである。これは方程式が持つ性質に起因し、本質的に回避が難しい問題であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在行っている対象について、対応する離散方程式系についての先行研究を改めて調べることにより突破口を見いだしたい。また方法の有用性を示すため、他の超離散方程式系に対して解を凸多面体で表現するアプローチを適用することで新たな結果が得られるかを調べる。 また対応する離散方程式や偏微分方程式についての既知の性質をよく調べ、あるいはそれらの方程式に詳しい人物と議論を行い、構造の本質を検討することより突破口を見出したい。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては研究代表者の所属変更に伴い、環境が変化したことにより研究遂行に必要な機材が変わったことによる。旅費は代表者の本務の都合で研究集会に出られなかったため。人件費に関しては、研究の手伝いを依頼したり、招聘し議論をする適切な人物の調整がつかなかったことによる。 次年度では研究を推進すべく適切な人物を招聘したり、国際研究集会での成果発表に使いたい。
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