2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K14202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永沼 伸顕 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60750669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Malliavin解析 / 法則収束 / 確率解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き4次モーメント定理の拡張に関する研究に主に取り組み、先行研究を若干拡張することができた。 まず、4次モーメント定理について説明する。4次モーメント定理とは、ひとつの次数のWienerカオスに属する確率変数列の法則収束を2次と4次のモーメントの収束で特徴付ける定理である。この定理から、自然に想起される問題として、任意の2個の偶数次モーメントにより法則収束が特徴付けられるかという問題がある。この問題は、Azmoodeh-Malicet-Minoule-Poly(2016) により部分的に解決されており、2次と4次以上のモーメントでは特徴付けは可能と判明している。一方で、昨年までの研究により、彼らの手法では一般の場合には証明ができないということも分かっている。 そこで本年度は3個以上のモーメントにより法則収束の特長付けは可能かという少し弱い形の問題を考えた。この研究により、Azmoodeh-Malicet-Minoule-Poly(2016) らの結果には含まれない法則収束の特徴付けを得ることができた。基本的なアイデアはAzmoodehらの論文から借りるものの、証明の中で現れる多項式に注目すべき性質があるように思われる。また、計算機による計算と手計算を組み合わせた証明で他にはあまり見られないものとなっている。ここで得られた特徴付けでは、当初目標には到達できていないものの、その第一歩として論文を投稿すべく現在準備を進めている。 その他、関連する問題の考察を行なったが、技術的な困難により特筆すべき成果を得ることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4次モーメント定理の拡張に関して、研究実績の概要で述べたように,少しずつ前進しているとは考えられるが、当初の予定と比較するとやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
4次モーメント定理の拡張を引き続き行う。また、非整数Brown運動により駆動される確率微分方程式の近似誤差の漸近挙動の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
物品の購入が当初予定よりも少なかったために繰越が生じた。次年度の書籍購入などに充てる。
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Research Products
(3 results)