2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K14202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永沼 伸顕 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60750669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Malliavin解析 / 法則収束 / 確率解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にふたつの研究を行った。 ひとつめは本研究課題の主目的である4次モーメント定理に関するものである。4次モーメント定理とはある次数のWiener汎関数の列が法則収束することを2次と4次のモーメントの収束で特徴付ける定理(Nualart-Peccati(2005))である。この定理の素朴な拡張として任意の2個の偶数次モーメントの収束により、法則収束が特徴付けられるか、という問題がある。この問題に対して、Azmoodeh-Malicet-Mijoule-Poly (2016)は、4次と任意の偶数次のモーメントの収束により法則収束を特徴付けることに成功している。一方で、一昨年度、昨年度の研究により、彼らの手法を用いて6次以上の場合に問題を解くことが難しいこと、3個以上のモーメントを用いれば法則収束を特徴付けられることなどが分かった。今年度はそれらの結果を精査して論文として投稿した。超幾何関数の漸近挙動の計算やその数値計算を行うことに時間を要した。 ふたつめは4次モーメント定理の応用のひとつである非整数Brown運動により駆動される確率微分方程式の近似に関する研究である。この研究では、近似の収束の速さの決定や近似誤差の漸近挙動の決定などを目的としている。非整数Brown運動が1次元の場合にはこれらに関する成果がOsaka J. Math.に掲載された(会田茂樹氏(東京大学)との共同研究)。この結果を非整数Brown運動が多次元の場合に拡張することが本研究の目的である。本研究では確率微分方程式の解とその近似過程を補完する確率過程を導入し、その性質を研究することで初期の目的を達成する方針を取る。その際に幾つかの技術的な困難があるが、それを克服するのが次年度の目的となる。本研究は会田茂樹氏(東京大学)との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4次モーメント定理に関する論文作成に関して細かな計算の精査に時間がかかった為に投稿が遅れた。また確率微分方程式の近似の研究でも方針は得られているが、技術的な困難を克服するために時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは確率微分方程式の近似に付随する技術的な困難を克服する。また、新型コロナウイルス感染症のために研究集会が中止になり、これまでの研究成果を発表する機会を作ることが難しかった。次年度はやや状況が落ち着くので発表、討論を通して成果の周知を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、参加を予定していた研究集会が中止またはオンラインでの開催となり、旅費を支出がなくなった。また、研究の予定が変更されたため物品の購入も抑制的となった。
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Research Products
(2 results)