2020 Fiscal Year Annual Research Report
Combination of stochastic differential equations and other theories
Project/Area Number |
17K14204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠岡 誠一郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20646814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 確率微分方程式 / 確率偏微分方程式 / 確率量子場モデル / マリアヴァン解析 / ディリクレ形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は前年度に引き続き特異確率偏微分方程式について研究を行った。2020年度の成果は主なものが2つあり、そのうちの1つは3次元ユークリッド空間におけるΦ4測度で、回転不変かつガウスでないものの構成である。これは以前に行った3次元トーラスにおけるΦ4測度とその流れの構成を、3次元ユークリッド空間全体の場合に行ったものである。これは物理における本来のユークリッド量子場理論に合った問題設定となっており、さらに既存の結果と違って3次元ユークリッド空間における回転不変性をもつものを構成したという結果である。既存の結果では主にトーラスの幅を大きくすることでユークリッド空間全体のΦ4測度を構成していたが、この研究ではトーラスによる近似を行わず、相互作用の局所化による近似を行った。そのため、回転不変性をもつような近似列をとることができ、それにより回転不変なΦ4測度が構成できるのである。今後Φ4測度の一意性に関する成果が得られれば、このΦ4測度は既存の他の構成から得られた性質ももつこととなり、構成的場の理論において大きな進展が得られることとなる。 主な研究成果の2つ目は指数型相互作用を入れた確率量子場モデルに対する、確率量子化方程式を前年度よりも広い範囲で解いたことである。前年度の研究成果ではL2空間の枠組みにおいて議論を行っていたが、ガウス乗法カオスにおける議論を見直すことにより、pが十分に1に近いようなLp空間において、我々の議論に必要な形でガウス乗法カオスの構成を行った。驚くべきところは、これにより確率量子化方程式の解に対するアプローチはL^2空間の枠組みの場合と同じように議論ができ、L^2空間の枠組みの場合と全く同じ結果が得られたことである。 以上のように、今年度は2つの特異確率偏微分方程式における問題を理想的な形で解くことができた。これらの成果は学術雑誌に投稿中である。
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Research Products
(7 results)