2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14206
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
江崎 翔太 福岡大学, 理学部, 助教 (40784533)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無限粒子系 / 確率解析 / 飛躍型過程 / 無限次元確率微分方程式 / 長距離相互作用系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、例として対数ポテンシャルで相互作用が与えられる無限粒子系を含む、長距離相互作用系の時間発展である干渉飛躍型無限粒子系に対する解析を行うことである。本年度は、前年度に引き続き、その無限粒子系に付随する無限次元確率微分方程式(ISDE)の解析を行うことを目標として研究を行った。本研究は種村秀紀氏(慶應大学)との共同研究として行った。前年度までに上述のISDEの解析を行う上での一般論の構成や、仮定に対する十分条件を得ることはできていたが、今年度は一般論における仮定や十分条件を改善し、より簡潔かつ現象的にも自然な仮定を元にして理論を展開することができた。この仮定の改善は、ISDEの解析に対するもののみならず、以前に研究した配置空間上の相互作用系の構成に対する結果の改善にもつながった。具体的に書くならば、次のとおりである。系全体の粒子の動きを制御する上でそれぞれ注目する領域にいる粒子の個数を制御する必要がある。そのため、従来ではその領域における粒子の個数の平均からの変動に関する仮定を置く必要があったが、この仮定を取り除くことができた。 さらに、仮定の1つであった、No Big Jump条件が、別に仮定される非衝突条件から主に導き出されることがわかったため、これは一種の仮定の改善を与えたと考えられる。 これらの改善を中心とした議論により、前年度までの例に加え、逆温度が1, 4のSine、Airy点過程を平衡分布にもつ、あるクラスの干渉レヴィ過程に対してISDE表現を与え、解の道ごとの一意性に関する結果をえることができた。これらの平衡分布は四元数行列式点過程として表現され従来の例とは異なる構造を持つため、この例に適用できる改善を与えられたことは前進と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも触れたが今年度の研究によって、ISDEに関する理論に対する仮定は簡潔なものとなった。このことにより、理論を適用できる範疇は広がったため、概ね順調であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、より多くの適用例を与えるために、すでに得られた一般論の十分条件が成り立つことを多種な例に対して検証する。 特に、一般化Bessel点過程を平衡分布に持つ確率力学の構成とISDE表現について研究を行う。この点過程は、対数関数を用いて干渉ポテンシャルが与えられる点で長距離相互作用系であるが、非対称な核関数を用いて相関関数が与えられるため、従来の理論の対象外である。 また、交付申請書において述べた本研究課題の大きな目標であるスケーリング極限に関する課題にとりかかる。
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Causes of Carryover |
全体的に予定していたよりも出張旅費が少なく済ませることができ、参加日程自体も当初予定していたより短く済んでしまったため。次年度は、従来の計画より共同研究者との研究打ち合わせを多く行うことや、プレゼンテーション用ソフトウェア、確率・解析関連書籍の購入等にあてることによって使用する。
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Research Products
(4 results)