2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14209
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中津 智則 芝浦工業大学, システム理工学部, 助教 (50732898)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 確率微分方程式 / 離散・連続時間最大値 / 確率密度関数 / リスク計算 / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は主に確率微分方程式の最大値に関する確率密度関数の研究及び、金融商品のリスク計算に関する研究を行った。確率密度関数の研究として具体的には、確率微分方程式の解の離散時間最大値の確率密度関数の上・下からの評価、離散時間最大値の確率密度関数が連続時間最大値の確率密度関数に収束すること、連続時間最大値の確率密度関数が正であることと、解自体の確率密度関数との関係を示した。これらの結果をまとめた論文は国際雑誌に投稿中である。また、特に離散時間最大値の確率密度関数が連続時間最大値の確率密度関数に収束することを用いると、連続時間最大値の確率密度関数の下からの評価が得られることが期待される。そのために本質的には離散時間最大値の確率密度関数の「良い」下からの評価を導く必要があり、これに関しても研究を行った。解自体の確率密度関数の下からの評価を得る方法はいくつか知られているが、最大値に関するものは知られていないため少し苦戦しているが、最近「良い」評価が得られる可能性が出てきたので、今後もこの方針で研究を続けて行こうと考えている。尚、連続時間最大値の確率密度関数の下からの評価は本研究の目標の一つである。 一方金融商品のリスク計算に関する研究では、係数が時間に依存する(少し強い制限があるが)確率微分方程式の解の最大値に依存する金融商品のリスクを計算する公式を導いた。従来は係数が時間に依存しない場合のみが扱われていたため、これは従来の結果の一般化になっている。この結果をたたき台にし、前述の制限を取り払うべく林正史氏(琉球大学)と今回得られた結果の拡張に取り掛かった。この研究は本研究の目的である停止時刻に依存する金融商品と密接に関わっており、今後はモンテカルロシミュレーションなどの数値計算も意識しながら研究を続けていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大値の確率密度関数に関して様々な結果を得ることが出来、当初の目標であった連続時間最大値の確率密度関数の下からの評価に近づきつつある。 またリスク計算に関しては、少し制限が強い場合にリスク計算のための公式を導くことが出来たが、共同研究者との研究により、この制限を外し一般的な条件の下で同様の公式を導くことが可能になりつつある。 以上の理由により、現在までの研究全体の進捗状況はおおむね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に平成29年度に行った研究方針を継続する。即ち確率密度関数の研究においては、離散時間最大値の確率密度関数の下からの評価を考察することにより、連続時間最大値の確率密度関数の下からの評価を得る。 またリスク計算の研究では、現在得られている結果を拡張する方法について考察する。但し、平成29年度は数値計算に関して研究を行う余裕があまりなかったため、平成30年度は数値計算も視野に入れた研究を行っていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は所属大学の変更などのため、あまり出張などを行うことが出来なかった。平成30年度は国内外に出張を行い、いくつか研究発表を行う予定であるのでそのために資金を使用する。また、国内外からの研究者の招聘や研究集会の開催などにも資金を使用したいと考えている。
|