2017 Fiscal Year Research-status Report
Convex Analysis on Orlicz Spaces and Applications to Mathematical Finance
Project/Area Number |
17K14210
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
尾張 圭太 立命館大学, 理工学部, 助教 (10616460)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Orlicz空間 / Dual Banach Spaces / 凸解析 / 数理ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
双対Orlicz空間(より正確にはΔ2型Orlicz空間の双対; atomlessなら同じ)の任意のノルム有界な確率収束列はその部分列でその算術平均が順序有界でかつa.s.収束するようなものを持つことを示した(Freddy Delbaen氏との共同研究). 特に, 任意のノルム有界列(確率収束はいらない)は順序有界でa.s.収束するある種の凸結合の列(forward convex combinations)を持つ(Komlos型定理). この主張は確率変数のなすBanach空間であれば意味を持つが, 例えばL_1では成り立たないことが割と簡単にわかる. ではどのような確率変数の空間がこの主張を満たすのか? この点について考察を重ね, 我々は確率空間がatomlessな場合, この性質は, Orlicz空間のクラスの中で双対Orlicz空間を特徴付けることを示し, 付随していくつかの双対Orlicz空間の幾何学的な性質を得た. 特に, この研究を始めるきっかけとなったBiagini and Frittelli (2009, in: Optimality and Risk)の"(C)-property"に関する主張は有界なnetに関しては正しくそれもまた双対Orlicz空間を特徴づけることもわかった. 更に上述のKomls型定理について, 事前に確率収束を仮定することなく単に"ノルム有界列は算術平均が順序有界になるような部分列を持つか"という問題に取り組んだ. これについてはある特別な場合, 具体的にはexchangeableな列(i.i.d.よりは弱く同一分布より強い)については, 双対Orlicz空間について成り立つマルチンゲール不等式をうまく使うことで成り立つことがわかった. ただこれはまだ満足できるレベルには到達していないので今後継続して行きたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連分野のサーベイなどに時間がかかった分当初の計画より遅れている部分もあるが, その分新たな展開が見えてきた部分もあり, 全体としては概ね順調としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) これまでに得られているKomlos型定理のさらなる精緻化, (2) 同型の定理の他の空間(Bochner-Orlicz空間, Musielak-Orlicz空間)についてこれまでの研究を進めるとともに, (3) 凸リスク測度, 数理ファイナンスの基本定理など数理ファイナンスの関数解析学的側面への応用について検討する.
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Causes of Carryover |
1ヶ月程度予定していた研究滞在が短縮されたため. 今年度の学会出張に当てる.
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