2020 Fiscal Year Annual Research Report
Differential equations satisfied by modular forms
Project/Area Number |
17K14213
|
Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
松田 一秀 新居浜工業高等専門学校, 数理科, 准教授 (20550106)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | モジュラー形式 / テータ関数 / 有理指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
モジュラー形式が満たす微分方程式として古典的に知られていたものは、Ramanujan-Chazy の微分方程式と Halphen の微分方程式がある。それぞれレヴェル 1 およびレヴェル 2 のモジュラー形式が満たす非線形微分方程式である。 整数論の立場からは、Ramanujan のテータ関数論を用いて Ramanujan の方程式の高レヴェルかが研究されていた。しかし、そこでは微分体の拡大は明示的に得られていなかった。 レヴェル 3 以上のモジュラー形式については、可積分系の観点から、大山、眞野によって非線形微分方程式が得られて、微分体の拡大についても考察されている。しかし、両者の方程式の解は、厳密にはモジュラー形式ではなく、擬モジュラー形式である。そのため整数論の観点から見ると、必ずしも扱いやすいものにはなっていなかった。 本研究では、Farkas と Kra による有理指標のテータ関数を用いて、レヴェル 3, 5および 6 のモジュラー形式が満たす微分方程式を導いた。その解は、厳密にモジュラー形式によって与えられおり、Ramanujan の微分体の拡大体も明示的に得ている。また、古典的な Jacobi の微分公式の高レヴェル化を導いたり、有理指標を用いた新たにテータ定数の恒等式を得て、Jacobi の 4 次式の高レヴェル化も導いている。さらに、Jacobi の 4 平方数定理のような、自然数を 2 次形式で表す方法の総数の数え上げの問題について、新たな応用も得られた。
|