2018 Fiscal Year Research-status Report
非圧縮粘性流の漸近形状と入力データの相関についての数学解析
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17K14215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 考宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (00626872)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナビエ・ストークス方程式 / 弱ルベーグ空間 / 一意性 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元全空間上の非圧縮 Navier-Stokes 方程式の初期値問題に対する時間可解性を弱 Lebesgue 空間において考察した。同空間においては、有界台を持つ滑らかな関数全体が稠密でなく、Stokes 半群の強連続性が一般には成立しないことが知られている。この半群の強連続性の欠落が、同方程式の時間局所解の構成を困難なものとしている。そのため、時間局所解を用いた同方程式の解の正則性の議論も不可能である。特に、スケール不変なクラスに属する外力がある場合には、大きなデータに対する時間局所解や、積分方程式を満たす解の正則性などは完全には解決されていない。本研究ではまず、初期値のもつ空間特異性に着目し、Stokes 半群が強連続になる関数空間を Stokes 作用素の定義域を用いて特徴づけた。また、時間局所解を構成するために外力の空間特異性に着目した必要条件を明らかにした。これらの初期値及び外力の特異性を制御することで、同方程式の時間局所解およびその正則性を得ることができた。研究方法としては、まず、Duhamel 項に対する Meyer-Yamazaki 型評価の導入し、初期時刻での挙動を精密に調べた。また外力の影響により従来の Fujita-Kato の方法に修正を加え、時間局所解を構成した。得られた局所解の正則性も用いながら、時間大域解の正則性を得た。また、応用として、同方程式の積分方程式の解は、データの空間特異性がなければ一意であることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元ナビエ・ストークス方程式の解の正則性や一意性は基本的な問題であるにもかかわらず未だ解決されていない。本研究により局所解の構成や解の一意性について、データの特異性の影響を明らかにできたことは意義深いと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ナビエ・ストークス方程式の解の一意性に関しては、初期値の持つ特異性が重要な影響を与える。解の一意性が成り立つクラスについて時間正則性の制限の緩和をめざす。 2.同方程式の長時間挙動について、外力の影響を考察する。
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Causes of Carryover |
出張予定の変更の為。次年度の出張旅費として使用する。
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Research Products
(8 results)