2020 Fiscal Year Research-status Report
非圧縮粘性流の漸近形状と入力データの相関についての数学解析
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17K14215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 考宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (00626872)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナビエ・ストークス方程式 / エネルギー減衰 / 漸近解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非圧縮粘性流体の運動を記述するナビエ・ストークス方程式の解の時間大域挙動について考察を行なった。非有界領域における同方程式の解の運動エネルギーは、時間多項式のオーダーで減衰することが知られている。さらに、一般的に最良の減衰オーダーが明らかにされている。全空間においては、Fujigaki-Miyakawa(2001)により、解の漸近系が導出されており、最良の時間多項式減衰オーダーは非線形項の減衰と密接な関係があることが知られている。一般に、この最良の減衰よりも速い減衰が起こる為には非線形項の制御が鍵となる。この非線形項の制御に関してこれまで巡回群の作用における対称性の下、考察が行われてきたた。 そこで、一般の流れに対しても、この対称性に代わる条件により非線形項の制御を行い、速い減衰を導くことが本研究の課題である。 本研究では、Brandolese氏(Lyon 1 University)との共同研究により、全空間における同方程式の解に対して、外力の作用によって非線形項の第一次漸近系を相殺し、速い減衰の導出に成功した。また、このような外力の性質として、時間・空間内においてコンパクト台を持つように選べ、形状は拡大縮小の違いは除き任意に選べることが明らかにされた。先行研究では、Hardy空間におけるノルム評価を援用していたが、この条件を緩和し、解の時間重み付きエネルギー評価のみにより正当化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非圧縮粘性流体の時間大域挙動の制御に関して、数理解析的な点から知見を得ることができた。また、先行研究で得られた手法を見直すことで、不要な条件を緩和することができ、より本質的な解析手法を確立することができた。この手法により、本研究の発展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、任意の流れに対して、適切な外力を作用させれば、解の非線形項の第一次漸近系を相殺することができ、速い減衰を得ることができた。今後は、非線形項のより高次の漸近系を外力により制御可能か考察をおこなう。 また、流体に働く様々な力に対しても、エネルギー減衰に関する寄与を解明していく。
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Causes of Carryover |
参加予定の海外研究集会および国内研究集会が中止や延期、オンライン開催に変更となったため。次年度の旅費等で支出する。
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