2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千頭 昇 東北大学, 理学研究科, 助教 (60789006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関数不等式 / Gagliardo-Nirenberg 不等式 / Besov 空間 / Fourier-Herz 空間 / Navier-Stokes 方程式 / 非線形熱方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は気体力学の基礎方程式である Navier-Stokes 系の臨界適切性を示し, 解の安定性, 及び 時間無限大での漸近挙動を解析することである. 平成 29 年度は, 圧縮性粘性流体の数学解析を行うに当たって必須となる関数不等式の精密化を行った. また, その応用として, 非圧縮性 Navier-Stokes 系や Hardy 型のポテンシャルを藤田型非線形項に掛けた Hardy-H\'enon 方程式の適切性を考察した.
Sobolev の不等式等に代表される可微分性と可積分性を関連付ける線形の関数不等式や, H\"older の不等式等に代表される正則性を振り分ける双線形の関数不等式を, Littlewood-Paley 理論による周波数分解や特異積分作用素の理論を用いて改良し, また, その最適性について考察を行なった. 特に, 流体の数学解析において基本的道具となる Gagliardo-Nirenberg 型の関数不等式を, 関数の波数変換の重み付き積分量で正則性を特徴付ける Fourier-Herz 空間において証明した. この際に, Besov 空間における関数不等式の最良定数や最大化関数について新たな知見を示した.
また, 積の双線型評価や合成関数の評価について考察し, Hardy-H\'enon 型熱方程式への適切性解析へと応用した. Bony 分解を用いて分数冪非線形項の評価を導出し, その応用として Hardy-H\'enon 方程式に対する適切性を臨界 Besov 空間において示すことで, 自己相似解を構成した. 更に, 将来的にこれらの手法を温度付き(非)圧縮性 Navier-Stokes 方程式に対して適用するために, 線形化作用素のスペクトル解析や Besov 空間における調和解析的技法について, 既存の結果を精査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の偏微分方程式の数学解析において, 既存の結果を改良するには, 臨界型関数不等式の改良, もしくは方程式特有の新たな性質(未知関数の変換やベクトル場の構造, 保存量等)の発見が必要となる. 本研究では主に前者を目標とし, 関数不等式評価の改良に主眼を置いている. 方程式に無関係に成り立つ不等式評価自体が, 多くの応用性を秘めた興味深い対象であり, 事実, モデル問題として Hardy-H\'enon 方程式の考察に適用できた. 平成29年度は, 気体力学の安定性解析には必須となる不等式の精密化をまず集中して行ったため, 進展は「やや遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に従い, 圧縮性または非圧縮性の流体に対する安定性解析を目標とし, 研究を継続する. 具体的には, 平成30年度の研究実施計画にもある通り, 圧縮性粘性流体の臨界 Besov 空間における初期値に対する連続依存性を考察して行く. その際に生じる技術的課題を関数不等式の精密化の考察により克服し, 必要に応じてその最大化関数の同定等, より詳細な解析を行う.
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Causes of Carryover |
当初予定していた北海道大学への出張, 「第19回北東数学解析研究会」への出席が, 学内業務により遂行できなかったため, 40,000円分の額が未執行となった. 次年度よりの研究集会への参加費用に当てる予定である.
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Research Products
(3 results)