2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14216
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
千頭 昇 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60789006)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 圧縮性粘性流体 / 半線形熱方程式 / 臨界空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究により, 次の 3点の成果が得られた. 1.) Hardy-Sobolev 臨界冪の非線形項をもつ Hardy-Henon 型半線形熱方程式に対する解の大域的ダイナミクスの解析. 2.) Hardy-Henon 型半線形熱方程式に対する重み付きルベーグ空間における統一的局所理論. 3.) 圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 系に対する臨界空間における定常問題の適切性. 1.) Hardy-Sobolev 臨界指数をもつ非線形項に対して, 対応する初期値問題の解をエネルギー空間において構成した. また, 基底状態以下のエネルギーを持つ初期値に対して, 一意的な大域解のエネルギーがゼロに減衰するか, 有限時間または無限時間で爆発する場合の必要十分条件を考察した. 2.) Hardy-Henon 型半線形熱方程式に対して, これまで Hadamard の意味での適切性は, ポテンシャルが Hardy 型である場合のときしか示されていなかった. 重み付き Lebesgue 空間を用いることでポテンシャルの冪を重み関数の増減と見做し, Hardy, 藤田, H'enon 型の全ての場合を統一的に扱う局所理論を構築した. 得られた結果は現在査読付き論文雑誌へ投稿中である. 3.) 二層流体の相転移を記述する圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 系の定常問題を臨界 Besov 空間において考察し, 問題の適切性を示した. 臨界正則性を持つ外力に対して線形化方程式の楕円型正則性を示し, 既存の研究において冗長だった解の構成スキームを簡略化した. 現在までのところ臨界空間における定常解は知られていない. 得られた結果は現在投稿準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二層流体を記述する圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 系の定常問題を考察し, 既存の適切性理論を押し広げることに成功し, 得られた結果は投稿準備中である. 圧縮性粘性流体の定常問題に対しては, 臨界空間における考察が少なく, 解の安定性や漸近挙動の解析など, 今後も発展の余地がある. また, プレプリントサーバで arXiv:2009.07108v2 として発表した結果は, Hardy-Sobolev 型の臨界冪を持つ熱方程式の大域ダイナミクスを解析したものであり, 特に potential well における初期値のエネルギー準位が mountain pass energy よりも低い状況では, 最終的な結果である. また, Hardy-H'enon 型熱方程式に対する結果は, 藤田型を含む広いクラスの方程式に対する統一的な結果であり, 今後の大域挙動解析の基礎となるものである. 得られた結果は査読付き雑誌に投稿中である. 更に, 上記の研究の延長として, Hardy 型非線形熱方程式に対する大域ダイナミクスの考察を現在行っているため, 進捗状況は「当初の計画以上に進展している」とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては, 研究の目的 (iii), (iv), (v) において挙げた, 圧縮性粘性流体の定常解の性質を調べ, スペクトル解析を用いてその漸近安定性を示すことを目標とする. そのために2020年度で得られた圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 系の定常問題の適切性の結果を推し進め, 非定常問題に対する摂動方程式の解析を行う. また, その過程において適宜関数不等式や関数空間の埋め込みの研究を行い, 種々の非線形問題の適切性・ダイナミクスの解析を行う.
|
Causes of Carryover |
Covid19の感染状況に関わる研究打ち合わせの中止によって, 執行できなかった予算が生じた.
|
Research Products
(1 results)