2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14224
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋藤 平和 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (30754882)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二相流 / 最大正則性 / 半群 / 時間大域可解性 / 粘性流体 / 非有界領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に,表面張力なし・重力なしの場合に対して,自由表面を伴う無限層状領域上のナビエ・ストークス方程式の時間大域可解性に関する研究を行った.本研究ではまず,線形化問題に付随する半群の指数安定性と報告者の過去の研究結果(2015)を組み合わせることで,線形化問題に対する指数重み付き最大正則性定理を証明した.次に,自由表面を伴う問題をラグランジュ変換により固定領域上の問題に変換し,不動点定理と得られた最大正則性定理を用いて,最大正則性の枠組みにおいて(変換後の問題に対する)時間大域可解性を明らかにした.さらに,逆変換を用いて元のナビエ・ストークス方程式の時間大域可解性を証明し,また,解が時間無限大において指数的に減衰することを明らかにした. 第二に,二相流を記述する数学モデルであるナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式(二相ナビエ・ストークス方程式とは異なる)についての研究を行った.特に,半空間上のレゾルベント問題に関する研究を行った.本研究ではまず,接方向の空間変数に対する部分フーリエ変換およびその逆変換を用いて解表示を求め,その解表示に現れるシンボルの詳細な解析を行った.次に,解表示に現れるシンボルに対応するフーリエ掛け算作用素定理を構築し,それを解表示に適用することで,複素平面内の角領域上定義された解作用素の存在およびそれらのR-有界性を証明した. 第三に,全空間,半空間,無限層状領域,およびそれらの摂動領域において,二相ナビエ・ストークス方程式に付随する二相弱問題に関する研究を行った.本研究ではまず,全空間,半空間,無限層状領域において二相弱問題の一意可解性を証明した.次に,全空間,半空間,無限層状領域の場合の結果を用いることで,それらの摂動領域において二相弱問題に対する一意可解性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半沢変換を用いることで,非コンパクトな界面により全空間が二つの領域に分けられている場合において,二相ナビエ・ストークス方程式の線形化方程式を導出した.現在,その線形方程式に付随する半群の減衰評価について研究中である.また,一般領域において,ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式の線形化方程式に付随する半群の生成定理を与えることに成功した.さらに現在,外部領域の場合に対してその半群の減衰評価について研究中である.これらの研究が成功すれば,線形化方程式に対する最大正則性定理と組み合わせることで,上記に述べた非有界領域上の二相ナビエ・ストークス方程式および外部領域上のナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式に対する時間大域可解性・解の漸近挙動の解明が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
第一に,非コンパクトな界面により全空間が二つの領域に分けられている場合に対して,二相ナビエ・ストークス方程式の時間大域可解性に関する研究を推進する.そのためにまず,レゾルベント問題の解表示に現れるロパチンスキー行列式の根の詳細な解析を行い,線形化方程式に付随する半群の減衰評価を導出する. 第二に,二相弱問題の一意可解性に関する研究を推進する.現在までの研究では扱われていない,コンパクトな界面により全空間が二つの領域に分けられている場合および無限管状領域の場合に対して,二相弱問題の一意可解性を解明する. 第三に,ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式の外部領域における時間大域可解性に関する研究を推進する.そのためにまず,線形化方程式に付随する半群の局所減衰定理を示し,さらに,局所減衰定理を用いて外部領域上の半群の減衰評価を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当該年度の途中に研究機関移動の可能性が生じたため,デスクトップパソコンの購入を次年度に見送った.次年度に,次年度使用額記載の費用により,デスクトップパソコンを一台購入する.
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Research Products
(7 results)