Outline of Annual Research Achievements |
p (次元) >>n (サンプルサイズ) である状況下で, 以下の研究課題に従事した: (A1)複数の高次元非正規母集団における平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定. (B)共分散行列の構造に関する検定. (A1)について, 平成29年度に得られた結果を多標本問題へ拡張した. 共分散行列の構造が弱スパイク構造である非正規母集団(正規母集団も含む)のもとで, 提案法は良い精度を有していることがわかった. これらの成果を纏め, 学術誌へ投稿中である. (B)について, 共分散構造がブロック対角構造であるかどうかの検定法について研究を行った. 正規母集団の下で, 共分散行列の構造の類似度を測る尺度であるRV係数を導入した. 母集団におけるRV係数の値が0である事と共分散行列がブロック対角構造を持つことが同値であることを利用し, 検定統計量の構築を行った. 自然な検定統計量として, 標本RV係数が考えられるが, p>>n において膨大なバイアスを持つため, その修正を施した高次元RV係数を提案し, 棄却点の近似を導出し, 近似検定を与えた. また, 高次元データを想定したシミュレーション実施し, 正規母集団かつ共分散行列が弱スパイク構造の場合は, 良い精度を有することを確認した. 尚, (A1)については西山貴弘氏との共同研究の成果であり, (B)については, 西山貴弘氏, タチアナパブレンコ氏との共同研究の成果である.(A1)や (B) は極限分布を利用した研究成果であるが, p や n の大きさが中程度である場合に高精度な検定の構築のため, 帰無分布の精密化に関する研究を開始した. まず, 基本的な統計量である Chen and Qin の検定統計量の帰無分布の近似分布を新たに提案し, それらが極限分布をオーダーの意味で改良していることを, 誤差限界を導出するすることで確かめた.
|