2017 Fiscal Year Research-status Report
ポテンシャル論に基づく超高性能数値計算法の統一的設計
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17K14241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 健一郎 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70610640)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重み付きハーディ空間 / 数値積分公式 / ポテンシャル論 / 補間型関数近似公式 / 凸最適化問題 / barycentric formula |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,本研究課題に対して,大きく分けて二つの進展があった.一つ目は,重み付きハーディ空間における高精度な数値積分公式の設計方法について,前年度までに得られていた結果の詳細を固めた上で,夏ごろに,その内容に関する論文を国際会議の査読付きプロシーディングスから出版したことである.これは,研究計画通りの進展と言える.二つ目は,同空間における高精度な関数近似公式の設計方法を改良したことである.研究計画書を作成した時点では,これはポテンシャル論から導かれるある積分方程式を近似的に解き,その解を用いて補間に用いる標本点を生成するという方法によっていた.この方法は複雑である上,途中で近似精度の評価が難しい直感的な近似方法を用いていたため,理論的な正当性を示すのが困難に思われるものであった.それに対して今回は,性質の良い標本点を直接与える最適化問題を考えることで,既存の方法と同程度の精度を持つ公式を,より簡単な方法で構成することに成功した.その最適化問題は有限個の標本点に対する凸最小化問題であり,効率的に数値解を求めることができる.また,この改良に加えて,補間による関数値計算を効率化するため,補間公式に対する性質の良い表示を与えることにも成功した.これは,通常の多項式補間については良く知られている"barycentric formula"の類似と見なすことができ,実際の数値実験においても,以前の表示を用いた場合に比べて高速な計算が可能になった.以上の結果は,既に論文にまとめ,プレプリントとして公開するとともに,論文誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画書どおりの進展が得られているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たに構築した方法による関数近似公式の精度の理論解析を行うと共に,数値積分公式の構成法の改良に取り組む.また,関数近似や数値積分の対象とする関数空間の一般化にも取り組んでいこうと考えている.
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Causes of Carryover |
今年度内に一つ予定していた海外出張を体調不良により取り止めたことと,今年度内に購入を予定していた数値計算ソフトウェアの購入手続きが遅れ、次年度に購入することになったことが理由である.
次年度は、前述のソフトウェアや書籍の購入の費用として、また、国内外の研究集会に参加したり、国内外から研究者を招致したりするための費用として、助成金を使用する予定である.
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