2018 Fiscal Year Research-status Report
可視面分光とアルマ望遠鏡で探る銀河と銀河間物質の相互作用
Project/Area Number |
17K14252
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅畑 豪紀 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (60783678)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙網 / サブミリ波銀河 / 活動銀河核 / 分子ガス / 原始銀河団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銀河間物質の探査を目的としている。宇宙においてバリオンはその大部分が銀河ではなく銀河間物質として存在しているとされる。現在の標準的な宇宙モデルでは、バリオンの大部分は銀河ではなく宇宙網(Cosmic Web)と呼ばれる蜘蛛の巣状の構造に沿って分布していると予想されている。これらの銀河と銀河を繋ぐ銀河間物質は、宇宙の構造形成、あるいは銀河進化を理解する上で欠かせない要素である。
これら銀河間物質を探査する手法としては、従来吸収線による探査が広く行われて来た。クエーサーのような遠方の明るい天体を背景光源とし、視線上に存在するガスが吸収される様を捉えようとするものである。このような手法は感度に利点がある一方、我々は主に輝線による探査を狙う。輝線を用いることで空間的な広がりを捉えることができる。宇宙空間における紫外線背景放射や局所的な紫外線源(活動銀河核や活発な星形成銀河)によって銀河間物質の大半を構成する中性水素の電離、蛍光が起きると広がった水素ライマンアルファ輝線が放射される。この水素ライマンアルファ輝線を放つガスネットワークとして銀河間物質を捉えることができると予想されてきた。
2017年度に開始した可視面分光装置による初期宇宙の水素ガス観測を2018年度においても引き続き実施することができた。得られた結果の中で、主たる成果について2018年度後半に査読論文を投稿した。2019年5月現在、当該論文は審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた観測は全て実行することができた。可視光近赤外線望遠鏡VLT (Very Large Telescope)に搭載された面分光装置MUSEによる希薄な銀河間ガスの観測は総観測時間にして30時間に及び、本研究に対する観測所側の大きな期待が伺える。2018年度はその解析に多くの時間を費やしたが、論文投稿まで行うことができた。したがって、研究は順調に推移しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文の受理に向けて引き続き取り組む。さらなる探査領域の広域化、高感度化の検討も進めていく。アルマ望遠鏡による宇宙網の中で形成されている銀河についてのデータ取得も引き続き精力的に進めており、得られたデータについて順次解析を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として935円を計上した。当該年度の予算は概ね予定通りに執行され、使用計画に大きな変更はない。少額のため影響は極めて限定的ではあるが、翌年分と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(12 results)