2018 Fiscal Year Research-status Report
星周ダスト放射をプローブとしたIa型超新星の起源解明
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17K14253
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山中 雅之 広島大学, 宇宙科学センター, 特任助教 (50645512)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ia型超新星 / かなた望遠鏡 / 光赤外線大学間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、Ia型超新星の親星に制限を与えることを目的とした観測研究を実施してきている。最近、我々のグループにおいてはIa型超新星の近赤外線観測によって、親星時代に放出されたと考えられる星周ダストの兆候を捉えることに成功した(Yamanaka et al. 2016)。これを受けて、爆発後の近赤外線観測がIa型超新星の親星に制限を与えることのできるプローブとなると考えている。 私は、広島大学所有の口径1.5メートルかなた望遠鏡及び可視近赤外線観測装置HONIRを用いて、近傍銀河に出現する増光期のIa型超新星を系統的な可視近赤外線観測を実施してきている。本年度においては、昨年度取得した3天体の可視近赤外線データに加えて、さらに5天体のIa型超新星の可視近赤外線観測に成功した。また、得られたデータの解析を行った。これによって、極大光度後60日程度に亘る近赤外線ライトカーブを得ることができた。また、かなた望遠鏡においては可視観測装置HOWPolを用いて、これら5天体の分光観測も実施した。分光データは解析を済ませた。これらの分光データに見られる吸収線の青方偏移量を調べた。また、全体のラインプロファイルからも各々のIa型超新星のサブクラスを推定した。 60日以上に亘る近赤外線ライトカーブは依然希少であり、その素性は明らかとなっていない。次年度星周ダストモデルで予言される理論ライトカーブとの比較を行うことで、星周ダストの性質に迫ることができると期待される。星周ダストの質量・ダスト組成・粒子サイズ分布に制限を与える。これらから親星システムを明らかにすることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度取得したデータに加えて、さらに5天体ものIa型超新星の可視近赤外線観測を実施することができた。これは、広島大学宇宙科学センターにおいて安定運用が難しいとされている近赤外線観測装置の保守管理が徹底されていたためである。また、即時解析パイプラインも構築し、得られたデータを速やかに解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた8天体もの60日を超える近赤外線ライトカーブを用いて、系統的な星周ダストの性質を明らかにする研究を実施する。具体的には、星周ダストモデルから予測される近赤外線ライトカーブと観測結果の比較を行う。星周ダスト構造は、幾何構造、質量、ダスト組成、ダスト粒子サイズ分布を仮定して構築されており、比較検討からこれらの物理パラメータに制限を与えることができると期待される。特に質量からは親星時代の星周物質の放出率を与えることができ、元の親星システムに強い制限を与えることができると期待される。
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Causes of Carryover |
残額は微小であり、本年度予算と合わせて研究報告のために学会参加の旅費に充てることにする。
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[Journal Article] SN 2017czd: A Rapidly Evolving Supernova from a Weak Explosion of a Type IIb Supernova Progenitor2019
Author(s)
Nakaoka, Tatsuya; Moriya, Takashi J.; Tanaka, Masaomi; Yamanaka, Masayuki; Kawabata, Koji S.; Maeda, Keiichi; Kawabata, Miho; Kawahara, Naoki; Itagaki, Koichi; Ouchi, Ryoma; Blinnikov, Sergei I.; Tominaga, Nozomu; Uemura, Makoto
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 875
Pages: 76-87
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Extended optical/NIR observations of Type Iax supernova 2014dt: Possible signatures of a bound remnant2018
Author(s)
Kawabata, Miho; Kawabata, Koji S.; Maeda, Keiich; Yamanaka, Masayuki; Nakaoka, Tatsuya; Takaki, Katsutoshi; Fukushima, Daiki; Kojiguchi, Naoto; Masumoto, Kazunari; Matsumoto, Katsura; Akitaya, Hiroshi; Itoh, Ryosuke, et al.
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 70
Pages: 111-132
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 光赤外線大学間連携による爆発後450日間のIIP型超新星SN 2017eawの観測2019
Author(s)
山中雅之, 中岡竜也, 川端美穂, 長木舞子, 河原直貴, 大坪一輝, 木村浩輝, 安部太晴, 山崎優衣奈, 川端 弘治 (広島大学), 諸隈智貴 (東京大学), 伊藤亮介, 村田勝寛 (東京工業大学), 今井正尭, 高木聖子 (北 海道大学), 他
Organizer
日本天文学会2019年春季年会