2017 Fiscal Year Research-status Report
極度に強い輝線を示す銀河を用いた宇宙初期の銀河進化と宇宙再電離の観測的研究
Project/Area Number |
17K14257
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小野寺 仁人 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40778396)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、撮像データを用いて静止系可視光にある[OIII]5007輝線がきわめて強い赤方偏移が3より遠方にある銀河(EELG)の候補天体を選択する手法を提唱した。まずはこの手法によって選択された天体が実際に目的とする天体であるかどうかを実際に分光観測をおこなって検証する必要があった。そこで、研究代表者らが、すばる望遠鏡のMOIRCSを用いた観測提案 "Spectroscopic identification of extreme emission line galaxies at z>3"を提出し、1晩の採択をうけた。観測は2017年4月におこなわれ、その結果、19天体について、期待された強い[OIII]5007輝線をはじめとする複数の輝線が検出され、赤方偏移3より遠方できわめて強い輝線を放射する天体であることが無事確認された。分光観測をおこなった天体のうち、赤方偏移が3未満の天体は2天体、単一の輝線の検出により赤方偏移が不定のものが1天体、輝線未検出のものが2天体であった。これにより、本研究で提案した天体の選択手法によって、高い成功率でEELGを選び出すことができることが実証された。また、赤方偏移が3よりおおきなEELG天体では[OIII]5007輝線にくらべて[OII]3727輝線やHβ輝線は弱いか未検出であることが多く、電離パラメータが非常に強いこと、また、金属量が低いことが示唆された。EELGは宇宙再電離期の典型的な銀河である可能性も指摘されており、これまで調べられてきたEELGより遠方宇宙でこのような種族の銀河を選択的に研究するための効率のよい手法が確立されたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すばる望遠鏡の観測装置MOIRCSは2015年に検出器の交換がおこなわれたが、データ処理用のパイプラインが古く、新検出器に対応していなかった。そこで研究代表者がパイプラインの改修をおこなう必要があったため、データの処理に遅れが出た。改修後のパイプラインについては、マニュアル等の整備を含めておこない、将来的には一般に公開することを予定している。このような状況により、データの解析に遅れが生じており、論文化および[OII]輝線のフォローアップ観測の申請ができていない。一方、これまで解析が進んだ部分については、国際研究での招待講演や海外でのセミナーでの発表を通して、研究協力者やその他多くの国内外の研究者との議論を進めることができたことは重要な成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
すばる望遠鏡MOIRCSで取得されたデータの処理および解析を速やかにおこない、論文として発表するとともに、成果を国際会議等で発表する。また、Keck望遠鏡、欧州南天天文台のVLT、およびすばる望遠鏡を用いて[OII]輝線やLyα輝線の追観測提案をおこない、観測時間の獲得に努める。
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Research Products
(9 results)