2017 Fiscal Year Research-status Report
ALMA望遠鏡で探る若い惑星とその形成母体である原始惑星系円盤の関連性
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17K14258
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
橋本 淳 国立天文台, 光赤外研究部, 特任助教 (20588610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大型電波望遠鏡ALMAを用いて遷移円盤天体の固体微粒子とガスの空間分布、および若い惑星に付随する周惑星円盤を詳細に解析することで、形成途中にあると考えられる若い惑星に関する知見を得ることである。申請者がALMAに採択されていた研究課題の観測データは当初予定通り平成29年度にアクセス可能となった。目的遂行のために[1]周惑星円盤の検出を目指す、[2]固体微粒子とガスの微細構造から惑星の軌道と質量を見積もる、[3]近赤外線観測から若い惑星そのものの直接検出を行うことの3つが当初の計画であった。本年度は主に、データ解析およびそのための解析ツールの構築が目標であった。 [1]に関して、観測データを詳細に解析したものの、周惑星円盤と思われるシグナルを検出することはできなかった。若い惑星に付随する周惑星円盤の検出例は世界でも例がなく、理論的に予測される明るさよりも暗い可能性がある。今後のALMAサイクル6以降のさらなる高感度観測が必要だと考えられる。 [2]では、一酸化炭素ガスの輝度分布を解析したが、ガス円盤に微細構造が見つからなかった。一方、固体微粒子には穴構造を検出することに成功した。一般に、電波干渉計の画像データは、アンテナ配列による観測ビームの形状の影響を大きく受ける。そのため、観測ビームの影響を受けない、電波干渉計の直接の観測量であるビジビリティを解析するツールの開発を行った。ツールの開発に成功し、ビジビリティから円盤の微細構造の推定を行うことが可能となり、穴の大きさとその輝度分布の深さから穴構造の起源に制限が与えられると期待される。 [3]では、8m級望遠鏡に観測提案を出したが、採択に至っていない。興味深い天体がALMAによって多数観測されているので、引き続き提案を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた周惑星円盤および若い惑星の直接検出(研究目的1と3)には遅れが生じており、目的3に関しては、観測提案が不採択であった。目的2の円盤微細構造から惑星の質量や軌道に制限を与えることについては、データ解析ツールの構築がようやく完了した段階であり、平成30年度から実際の観測データへの適用を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的1の周惑星円盤の検出は、採択課題の観測データと公開されるALMAアーカイブデータを足し合わせることでデータクオリティを改善させ、引き続き検出を目指したい。目的2では、構築した解析ツールを観測データに適用させ、その結果を査読論文としてまとめたい。目的3は、8m級望遠鏡へ引き続き観測提案を行う。ALMAで得られたデータには明らかな微細構造が検出されており、それらを励起したと思われる惑星の直接検出は極めて重要である。
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Causes of Carryover |
今年度は予定通り解析環境(ワークステーションやストレージ)を整えることができた。次年度は成果の発表に備え、論文投稿費や成果発表のための国際会議の参加旅費に主に使用予定である。
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Research Products
(1 results)