2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K14265
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米倉 和也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90769043)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電磁双対 |
Outline of Annual Research Achievements |
M理論のM5-braneの上に現れる6次元N=(2,0)超対称共形場理論は、ラグランジアンのない場の量子論の中で最も代表的かつ重要な理論である。この理論が存在することによって、極めてよく知られている理論についての新しい性質を導くことができる。M5-braneが一枚ある場合を2次元トーラスにコンパクト化すると、4次元で(超対称化された)通常の自由マクスウェル理論になる。この自由マクスウェル理論は全くよく知られた理論でラグランジアンももちろん存在するが、実はこの理論はnon-Lagrangian的な性質を含んでいることはあまり認識されていない。自由マクスウェル理論には電場と磁場を入れ替える電磁双対性という性質があり、それはマクスウェル方程式の時点では簡単にみることができる。しかし電磁双対の量子力学的な側面を見ようとすると途端に話が難しくなってくる。電磁双対が最も一般に作用する場合はラグランジアンによる定式化は困難になってくる。しかし、6次元N=(2,0)超対称共形場理論のトーラスコンパクト化を使うことによってその性質を調べることができる。私の研究(Seiberg氏、立川氏との共同研究)で、この電磁双対が実は非自明な重力場中で量子アノマリーを持つことを明らかにした。これはつまり、古典マクスウェル方程式の時点では完全な対称性に見えていた電磁双対が実は量子効果によって非常に微妙に破れているということである。これは興味深い現象であり、ストリング理論でも重要な役割を果たすと考えており、さらなる研究に発展すると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この年に、博士研究員の身分から大学の助教(九州大学2018年4月から)、准教授(東北大学2019年3月から)の身分になり、色々慌ただしくて初めての体験が多く大学の業務に忙殺される状況でした。今後もっと慣れてくると期待したいですが、とりあえずもっと研究時間が欲しいです。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で書いたように、マクスウェル理論の電磁双対のアノマリーはストリング理論で重要な役割を果たすと考えている。具体的にはストリング理論のO-planeなどの分数電荷がなぜディラックの量子化条件と矛盾を引き起こさないのかの鍵がマクスウェル理論のアノマリーにあると考えている。それを、non-Lagrangianの6次元理論のコンパクト化などを利用して調べていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
旅費に使用する予定の分が、先方負担や科研費と別の財源などで賄われたため科研費をあまり使わなかった。次年度で研究環境を整備するための物品費などに使う。
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