2018 Fiscal Year Research-status Report
超新星背景ニュートリノ観測のためのスーパーカミオカンデ全反射型集光レンズ開発
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17K14266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 一得 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90583477)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 集光システム / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で開発している集光システムであるエアコーンは、透明アクリルと空気との境界で起こる全反射を利用して、光センサーに集光するシステムである。この集光システムを導入することで、スーパーカミオカンデのエネルギー分解能を向上させ、超新星背景ニュートリノの主なバッググラウンドの一つである宇宙線起源の各破砕事象と信号との識別力向上を目指す。 2018年度は、2017年度に作成した集光システム試作機の光学的特性評価のためのセットアップ作成を行った。平行して、より詳細なシミュレーションの構築を行った。アクリル層の厚みが大きいほど、チェレンコフ光がアクリルに吸収さてしまうので、アクリル層の厚みはなるべく薄くすることが望ましい。一方で40mの水圧に耐えうる強い耐水圧を持つ必要がある。集光システムの試作機作成では、これらをを考慮した結果、アクリル厚1㎝の中に3㎜の空洞を持たせ、その空洞内にアクリルの支持構造を作ることで耐水圧を持たせた。この試作機の光学特性として、水中における集光システムの反射率、透過率の入射角依存を測定する。そのために、水槽、光検出器、集光システム及びその支持構造体、レーザーインジェクターを組み合わせたセットアップの作成に取り組んだ。 シミュレーションは、これまで集光システム1つと光センサー1つとで基礎的なシミュレーションを行ってきたが、集光システムを実際の検出器シミュレーションに導入して、物理事象を発生して、検出器性能をより詳細に調べるためのコーディングを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
集光システム試作機の光学的特性評価のためのセットアップ作成に予想以上に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
試作機の特性評価を行いその結果をまとめ、シミュレーション結果と合わせて論文を投稿する。 特性評価では、反射率、透過率の入射角依存を測定する。また波長の異なるレーザー光を用いてそれらの波長依存も調べる。 シミュレーションでは、検出器のエネルギー分解能の向上を確認するとともに、集光システム導入によって生じる悪影響も調べる。それらの結果をもとに、最終的に物理解析に対する感度がどれだけ向上するかを見積もる。
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Causes of Carryover |
集光システム試作機の光学特性評価セットアップの作成に時間がかかっている。次年度では、サイズの違う試作機の作成、試作機の支持構造体の作成に予算を使用する予定である。
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