2020 Fiscal Year Research-status Report
LHC-ATLAS実験における高統計データを用いた超対称性粒子探索
Project/Area Number |
17K14268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 智之 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (50749629)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LHC加速器 / 超対称性 / 素粒子 / 陽子陽子衝突 / ATLAS実験 / エレクトロニクス / FPGA / トリガーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では設計値の数倍に強度を上げたLHCにおけるATLAS実験で、新しいミューオントリガシステムを導入することで背景事象を大幅に削減しトリガレートを効率よく抑え、超対称性粒子グルイーノを探索しその発見に挑む。 今年度は2022年より始まる実験に向けて、新しいミューオントリガシステムをATLAS検出器システムに組み込み、実験本番の環境で新しいミューオントリガーシステムの動作を詳細に検証した。トリガーデータ読み出しパスの開通に成功し、3月に初めてデータ取得に成功した。また時に不安定な動作をするFPGA上の回路を特定し一つ一つ改善することで、高トリガーレートに耐えうる頑強なシステムに仕上げた。計画通りの進捗を得ることができた。 他システムとの統合試験に関しても良い進捗を得ることができた。実験現場近い試験システムを構築し新内層ミューオン検出器(NSW)トリガプロセッサーボードと接続試験を進めた。前段のエレクトロニクスから信号を送信しNSWトリガプロセッサーボードを経由して、本システムで期待通りの信号を正しいタイミングで受信することに成功した。これらの試験により実験現場で起きうる問題を事前に発見、解決しておきスムーズな実験開始を可能にする。実験本場にむけて大きな進捗である。加えて、実験現場でハドロンカロリメータシステムと接続し通信安定性の試験を実施した。全リンクに関して長時間のエラーレート測定を行い、数リンクに関して不安定性を発見した。実験本番までに改善を図る予定である。運転本番に向けて着実に試験を進めることができた。 昨年度国際会議で公表したATLAS実験Run-2(2015-2018)のフルデータ139 fb/-1を用いて超対称性グルイーノの探索結果を、今年度は論文にまとめて公表できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新しいミューオントリガーシステムをATLAS検出器システムに組み込み動作させ、データ取得に成功した。さらにストレステストを実行し、不安定動作をする箇所を洗い出し、解決することができた。FPGA上の回路が正しく動作するようにReset機構の改善や正しい回路設定を追求した。実験本番に向けて大きな進捗である。 他システムとの統合試験に関しては、実験現場で試験時間の削減のために、本番のセットアップに近い試験システムを構築し詳細な試験を実施した。事前に将来起きうる問題を解決しておくことでスムーズな実験開始を実現する上で重要な成果である。 ATLAS実験Run-2フルデータ139 fb/-1を用いた超対称性グルイーノの探索結果を論文にまとめて公表できたことは大きな進捗であった。 これらの進捗状況考慮して本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの急速な感染拡大のため期間延長を行い今年度の研究を行った。この間リモートで研究できる体制を開発し、多くの研究がリモートで進められることが可能となった。現状大きな障壁がなく研究を推進できている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの急速な感染拡大により、実験現場での作業が困難になった。リモートでの研究遂行が余儀なくされたため、翌年度に繰り越し現場での作業を継続することに加えて、リモート研究のための開発も含めて研究を進める。
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Research Products
(6 results)