2017 Fiscal Year Research-status Report
Probing warm dark matter with a magnetic moment
Project/Area Number |
17K14269
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 聡明 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 特任研究員 (20779269)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 素粒子実験 / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本実験の主な要素は、ファラデー回転を検出するための光学系と磁場発生系である。 光学系については、現在進めている真空複屈折実験のセットアップをほぼそのまま使用することが可能であり、その改良を行った。本測定における測定時間は数週間から数ヶ月と長期にわたるため、共振器の長期安定性が重要である。共振点の変動はPDHエラー信号のドリフトとして観測されるため、この信号をNd:YAGレーザーの結晶温度にフィードバックする回路を製作した。これにより共振器の安定性が約10分から2時間程度に改善した。 電磁石については現在の巻線機をソレノイド用に改良し、試作機を製作して発生磁場や冷却効率の性能評価を進めている。本測定の背景事象は真空チェンバー内の残留ガスに起因するファラデー効果であり、その調査のためには、定常磁場よりも時間変動のあるパルス磁場の使用が有用である。コンデンサバンクに2kV程度の高電圧を充電する際、高電圧メカニカルリレーのturn onのタイミングでサージ電圧が観測され、これが0.1Hz程度の充電サイクル毎にファブリペロー共振器の擾乱源となっていた。そこで昇圧トランスの一次側にゼロクロス機能のあるSSRを導入し、充電タイミングを低圧側で制御するようにPLCのシーケンスを改良した。現在の共振器を用いたテスト実験として、このパルス磁場を用いて約100Paの窒素ガスのファラデー効果を実際に測定し、期待通りの偏光回転量を観測した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では磁場発生システムと精密光共振器を長期間にわたり安定して運転する必要がある。その際、高フィネス共振を維持する技術が本質的に重要である。当初の計画通り、本年度は磁石開発と並行してこの光学系の安定性に関わる調査が大幅に進展した。今後電磁石と組み合わせて測定を開始することにより本研究の目的が達成されると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在進めている、共振器の安定化に対する努力は今後も続けていく必要がある。そのため強度安定化へ向けて光学系を改良する。またこれと並行して進めている電磁石の製作を完了する。これらの完了後に各々組み合わせて最初の探索実験を開始する。一ヶ月程度のデータ取得を行い、質量の軽い暗黒物質の磁気モーメントに対して制限を与える。
|
Causes of Carryover |
電子回路部品など実験に要する物品の購入が少なかったため2万円程度の差額が生じた。翌年度の電磁石製作にかかる費用の一部として使用する。
|
Research Products
(3 results)