2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a cryogenic continuous rotation mechanism for a polarization modulator in cosmic microwave background polarization experiment
Project/Area Number |
17K14272
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 雄基 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (50780847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CMB / インフレーション / 偏光変調器 / 半波長板 / 極低温 / 回転機構 / 超電導磁気軸受 / 同期モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宇宙のインフレーション探索に向けた宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光観測実験に用いる偏光変調器のための極低温連続回転機構の開発である。インフレーション起因の原子重力波による特徴的なCMB偏光パターンを捉えるためには、偏光変調器の導入による超精密な偏光観測が必要である。偏光変調器とは、光学素子である半波長板を連続回転させ、入射偏光信号に変調を付加することで、観測の系統誤差と低周波ノイズを極限まで低減させる装置である。CMB偏光観測実験では、熱ノイズを抑制するため、観測機器を20K以下の極低温まで冷却する。したがって、偏光変調器には極低温で連続回転を実現する回転機構が要求される。そこで、本研究ではこの回転機構の極低温における安定的かつ低発熱な動作の確立を目的とした。提案した研究実施計画に従い、初年度は口径80mmの小型試作機の設計・作製と10K以下の低温環境での性能評価を実施した。特に、駆動機構と超電導磁気軸受の低発熱化のため、永久磁石と磁性体ヨークを組み合わせた磁気回路の開発を行った。また、磁石の磁場温度依存性を利用した非接触極低温温度センサの開発も並行して行った。結果として、10K以下での安定的連続回転を実現し、スピンダウン実験によって発熱量の推定と実験結果を基にした熱シミュレーションモデルの確立に成功した。最終年度は、直径380mmの実機サイズ試作機の設計と作製、及び極低温下での性能評価を行った。結果として、実機サイズにおいても安定的連続回転を実現したが、推定した発熱量は設定した要求値を満たさなかった。しかしながら、軽量化、及び材質と設計の最適化を行うことで、要求が達成可能なことを熱シミュレーションによって示すことに成功した。これらの成果を国内、国際学会及び論文で発表した。
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