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2017 Fiscal Year Research-status Report

次世代チェレンコフ望遠鏡アレイCTAによるTeV領域電子・陽電子計測の準備研究

Research Project

Project/Area Number 17K14275
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大石 理子  東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (10420233)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords宇宙線 / 電子 / ハドロン相互作用モデル / 大気チェレンコフ望遠鏡
Outline of Annual Research Achievements

テラ電子ボルト領域の宇宙線電子スペクトル測定は、飛翔体による直接測定(AMS-02, CALET, DAMPE)と地上観測装置である解像型大気チェレンコフ望遠鏡群による間接測定の双方により、近年急速な発展が見られている。計画初年度は、次世代大気チェレンコフ望遠鏡計画 CTA (Cherenkov Telescope Array) に対して、電子・陽電子の合算エネルギースペクトル測定性能のシミュレーション評価を行った。
CTAの南半球サイトのアレイ候補(望遠鏡99台)について、E > 1 TeVの高エネルギー帯に重点を置き、電子及び主要な雑音源となる陽子のシミュレーション事象データ(後述)生成を行い、この疑似データに電磁成分(電子とガンマ線)とハドロン成分を分離する解析を施して、最終的に期待される電子の事象数をエネルギービンごとに求めた。これらの結果については、日本物理学会において3件の口頭発表を行っている。
宇宙線陽子が高高度で高エネルギーの中性π粒子を生成した場合、即座に1対のガンマ線に崩壊するため観測される事象は電磁シャワーに類似し、電子に対して主要な雑音源になる。このため宇宙線陽子の二次粒子生成を記述する相互作用モデルの精度は(特に電子成分測定について)重要である。しかし現在においても完全な相互作用モデルは完成しておらず、実験結果を用いたモデルの改善が進められている。この相互作用モデルの不定性が電子測定結果に与える影響を評価するため、四種類の相互作用モデルを用いてシミュレーション事象生成を行い、電磁成分likeな陽子の量の差異を見積もった。結果として、EPOS-LHC(及びSIBYLL2.1)はQGSJET-II-04(及びQGJSET-II-03)と比較して電磁成分likeな陽子を有意に多く(~2倍)生成することが分かり、不定性の影響は無視できないことが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計算機資源及び人的資源の双方において想定外の重大な問題は発生せず、計画はほぼ予定どおりに進捗している。相互作用モデルの評価については、国内の宇宙線研究のコミュニティにとっても重要なテーマであるため所属研究グループ外専門家からの意見も得ることができ、また電磁成分の評価という点ではCTAの主要ターゲットであるガンマ線とも関連があるため、海外のシミュレーション専門家(CTA所属)との研究協力も進めることになり、この2点においては当初の計画よりも発展した形で進行している。

Strategy for Future Research Activity

引き続きCTAでの電子・陽電子合算スペクトルの測定性能のシミュレーション評価を行うが、その上でより統計精度を上げつつシミュレーションコストを下げる技術の開発を検討する。
陽子が高高度で高エネルギー中性パイ粒子を生成する事象は発生確率は低いものの、宇宙線陽子の流量は電子と比較して圧倒的に大きい(1 TeV近傍で約1000倍)ため、シミュレーションコストは、電磁成分likeな事象に対して十分な統計精度を得るための陽子事象の生成コストでほとんど決まる。陽子が電磁成分likeな事象を生成する条件を絞り込み、その条件下でのシミュレーションを重点的に行った上で、最後に自然の確率分布に戻すre-weighting手法(エネルギー分布については既に導入されている)を用いることでシミュレーションコストを軽減できるかどうかを検討する。電子陽電子の合算スペクトル測定に対するシミュレーション研究が十分な統計精度で行われたあとは、地磁気を用いて陽電子成分を分離して測定することが可能であるかのシミュレーション検証に移る。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] CTA報告132: CTAのTeV領域電子・陽電子スペクトル測定性能のシミュレーション評価2018

    • Author(s)
      大石理子、奥村曉、折戸玲子、片桐秀明、神本匠、櫛田淳子、郡司修一、齋藤隆之、榊直人、佐々井義矩、高橋知也、種田裕貴、千川道幸、中森健之、西嶋恭司、三浦智佳、吉越貴紀、吉田龍生、李健、他 CTA-Japanコンソーシアム
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] CTA報告124: CTAのTeV領域電子・陽電子スペクトル測定性能のシミュレーション評価2017

    • Author(s)
      大石理子、稲田知大、奥村曉、片桐秀明、櫛田淳子、郡司修一、齋藤隆之、榊直人、千川道幸、西嶋恭司、三浦智佳、吉越貴紀、吉田龍生、李健、他 CTA-Japanコンソーシアム
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] A Monte Carlo simulation study for cosmic-ray chemical composition measurement with Cherenkov Telescope Array2017

    • Author(s)
      Michiko Ohishi, Takanori Yoshikoshi, Tatsuo Yoshida for the CTA-Consortium
    • Organizer
      35th International Cosmic Ray Conference (ICRC2017)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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