2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14276
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 蘭平 東京工業大学, 理学院, 研究員 (70785310)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙論 / 重力理論 / ダークエネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
Einsteinによって提唱された一般相対性理論は、実験・観測との整合性から重力の標準理論として広く認識されており、一般相対性理論と驚くべき精度で一致しています。このように太陽系スケールにおける検証では疑う余地がない一方、一般相対性理論は現代物理学では説明できない2つの問題を孕んでいます。一つはミクロなスケールにおける問題(重力の量子化の問題)、もう一つはマクロなスケールにおける問題(宇宙の加速膨張)です。これは、一般相対性理論はある「基礎理論」の一部の領域を記述する(ニュートン重力のような)理論であることを示唆しています。そのため、一般相対性理論を再現し、これらの問題を解決できるような重力理論はどのようなものか、探求する必要があり、現代物理に有益な知見をもたらすと期待しています。 そこで、主に、質量がゼロのspin-2の粒子(重力子)の理論の再構築を行いました。今まで知られている有質量の重力子の理論とは違い、一般相対性理論から出発するのではなく、より最も一般的な理論から出発し、BD ghostが現れない条件を、線形理論の範囲で明らかにしました。この論文は最終段階にきており、近々発表できると期待しています。また、重力子が質量をもつベクトル場と非自明な相互作用をする理論における宇宙の背景時空の進化、および、摂動安定性に関しても調べ、これまで知られていたスカラー場の場合と違い、非自明な相互作用が存在しても、安定であることを示しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平坦な時空におけるspin-2の粒子を一般化することに成功しました。これは、当初の研究計画である縮退する有質量重力子が少なくとも、弱重力場の周りでは存在することを意味しています。これを非線形理論へと拡張していくことで、これまで知られていた有質量重力理論を超える理論を構築することが可能となることが期待され、十分な成果が得られたと考えています。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通りに進めていくことで、これまでの研究成果を発展させ、宇宙論へと応用できる新たな理論の構築を目指します。
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Research Products
(7 results)