2022 Fiscal Year Annual Research Report
Unified understanding of anisotropic quantum many-body systems from extended Gaussian expansion methods
Project/Area Number |
17K14277
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鈴木 渓 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (40759768)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子色力学 / 少数多体系 / チャーモニウム / カイラル対称性 / ゼーマン効果 / カシミール効果 / 格子場の理論 / 相対論的重イオン衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論物理学において、「等方的な」3次元空間を仮定したうえで理論や数値計算手法を構成する試みは多いが、特定の物理系に興味がある場合や技術的な都合などにより「等方性」が満たされない状況はしばしば生じる。本研究では、通常は等方的に扱われる系に対して、電磁場や空間的な境界条件を課すことにより、系が「非等方」となることによって新たに創発する物理現象の探索や、それを解析するための新たな理論手法の開発を目的とする。研究期間全体を通じた主な研究成果として、「非等方なQCD・ハドロン物理」における成果(1)-(3)、および、主に最終年度に行った物性物理に関する成果(4)がある。 (1)静磁場中の有限軌道角運動量を持つハドロンの性質の解明。ガウス展開法と呼ばれる数値計算手法を用いて、P波チャーモニウムの磁場中での質量スペクトル、波動関数の劇的な変形現象(ハドロニック・パッシェン・バック効果)、この効果に起因する特異な崩壊モードの予言を与えた。 (2)時間発展する磁場中のハドロンの性質の解明。時間依存シュレディンガー方程式を数値的に解くことにより、時間発展する磁場中でのS波チャーモニウムの変化を解析した。結果として、チャーモニウムの基底状態が他の状態へと遷移していく過程や最終的な残存確率を予言した。 (3)有限体積系におけるハドロンの性質の解明。箱型や平行板型の有限体積系におけるハドロンの性質について解析を行った。特に、QCD真空におけるカシミール効果はカイラル対称性の破れの大きさを変化させるため、それに伴い核子やD中間子の質量が変化することを示した。 (4)格子上の量子場に起因するカシミール効果の解明。カシミール効果は通常、連続時空上で定義されるが、本研究では格子上の量子場に対する定義を提案した。さらに、この定義を用いることでディラック半金属中の電子や磁性体中のマグノンに対する定量的な予言を行った。
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Research Products
(10 results)