2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the Trigger System for High Luminosity Environments and Verification of Supersymmetry
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17K14284
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中浜 優 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (10786180)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トリガー / 超対称性粒子 / エネルギーフロンティア / LHC加速器 / ATLAS実験 / 統合トリガー系 / ミューオントリガー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)LHC高輝度環境下でも安定動作可能な究極の統合トリガー系を実現すること、及び(2)現行ATLAS実験Run-2期間で到達可能な超対称性粒子探索に決着をつけることである。 (1)トリガー研究では、前年度までにLHC Run-2においてATLAS実験の多彩な物理プログラムを網羅する統合トリガー系を完成した。今年度はトリガー性能を詳細評価した。精密測定を含む物理データ解析に使用できるレベルでの安定動作を確認した(ミューオントリガーでの評価結果を査読付論文に投稿中)。 並行して、2021年開始Run-3に向けた統合トリガー系実装のための新技術を開発した。次世代トリガー系「並列処理マルチスレッド対応フレームワーク」では、トリガー処理用計算機資源(50k CPUコア)におけるメモリー使用を効率化し半減できる。ミューオンを例にマルチスレッド対応トリガーへの移行を完了させ、動作確認・性能評価を行った。今後ビックデータ化する大型実験で、本技術は計算機資源の効率的な使用を実現できる。持続可能なトリガーデータ処理システムを現行実験で実証した。また、関連分野最大規模の国際会議CHEP2019でプログラム委員を務めた。 (2)超対称性粒子の研究では、Run-2全データ140/fbを用いて、グルイーノとスクォークを包括的に探索した。解析技術として、機械学習や複雑な統計処理などをフル活用した発見感度が高い解析手法を新たに完成させた。今年度に得た結果では、残念ながら超対称性粒子の兆候がなかった。しかしながら、グルイーノとスクォークの質量が、それぞれ2.4、2.0 GeV/c2以下と最も厳しい制限を課した(査読付論文へ投稿準備中)。さらに、長期データ保存の技術開発も行い、pMSSM・レプトクォーク・暗黒物質などを仮定した様々なモデルに対しても随時結果を再解釈(RECAST)できるようにした。
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Remarks |
所属研究室のwebページであるが、本研究代表者がデザイン・作成した。 o 2019年4月に日本語版を公開、続いて2020年3月に英語版。 o 専門内外に向けた研究内容のわかりやすい紹介はもちろん、研究成果を随時公開。
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