2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14286
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
齊藤 遼 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (70781392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 修正重力理論 / スカラーテンソル理論 / 第5の力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究では、昨年度に引き続いて、高階微分を含む一般的なスカラーテンソル理論のクラスを与えるDHOST(Degenerate Higher-Order Scalar-Tensor)理論における「第5の力」の働きに関する研究を進めた。まず、DHOST理論で見られた「有限密度領域におけるVainshtein機構(第5の力の遮蔽機構)の破れ」をより理解するため、DHOST理論に対して変数変換を行って再解析を行った。DHOST理論は変数変換によって、「破れ」を生じない理論として知られるHorndeski理論に対して、物質とスカラー場の直接的な相互作用を導入した理論として書き換えられることが知られている。このことから、「破れ」は物質とスカラー場の相互作用から理解することが可能である。解析の結果、こうした相互作用のうち微分相互作用が「破れ」を引き起こすのに重要であり、「破れ」に対して知られていた幾つかの事実がより簡明に理解できることを見出した。以上と並行して、天体の運動による「第5の力」への影響を議論した。宇宙にはCMB静止系と呼ばれる特別な慣性系があり、太陽系はその慣性系に対しておよそ370km/sで運動している。本研究では、まだ部分的な結果のみが得られたのみであるが、一般相対性理論では天体の生み出す重力場はこの速度に依存しないのに対して、DHOST理論ではこの速度に依存した項が現れることを見出した。さらにこれらの研究と並行して、第5の力の遮蔽機構の一種であるカメレオン機構の非一様系における働きに関するプロジェクトも進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、「第5の力」の遮蔽機構、および動的な系における「第5の力」の働きに関する研究を進めた。特に後者では、最も単純な運動であるCMB静止系に対する等速直線運動に着目し、この系を解析するために必要な手法を構築した。しかし、まだ解析は部分的であり、その完成のためにはさらなる理論面での整備が必要となる。また、これらの結果はまだ論文としてまとまっておらず、研究計画の進展は部分的であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはこれまで得られた研究成果をまとめる。また、解析が途中である動的な系に対する「第5の力」の働きに関する研究を進める。この結果と他のグループによって得られている結果を組み合わせることで、観測と整合的な理論をかなり絞り込むことができる。こうして観測と整合的な理論をできる限り絞り込んだうえで、宇宙論や非球対称な系における遮蔽機構に関する研究に取り組んでいく。
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Research Products
(5 results)