2017 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノ質量分光に向けた、対向型二光子放出増幅の実現
Project/Area Number |
17K14292
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増田 孝彦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任講師 (90733543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コヒーレンス / 二光子放出 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子の脱励起に伴いニュートリノを放出する過程を観測することができれば、いまだ確定できていないニュートリノの諸性質、特に質量絶対値、を網羅的に測定することが可能となる。本研究はそのために必要になると考えられる巨視的コヒーレンスによる遷移確率の増幅効果を詳細に確認することを目的とする。ニュートリノを放出させるためには、対向励起によるコヒーレンス生成および放出過程の定量理解が重要である。本課題ではパラ水素ガス標的に中赤外レーザーパルス(ポンプ)を入射することでコヒーレンスを生成し、同色のパルス(トリガ)を別角度から入射して対向型二光子放出を誘導する。 第一段階としてポンプとトリガに同じレーザーを用いる実験を行い、対向型二光子放出の信号発生を確認することができた。しかし、とくに入射レーザーの散乱光が主要なバックグラウンドになることもわかった。入射レーザーと信号光の波長が全く等しいため、散乱光と信号光を分離するためにはジオメトリの微調整が必要である。そのためにパラ水素標的を自由に回転させるシステムをあらたに開発し、信号雑音比の低減に成功した。そのほかデータ取得系の整備も行い、各種パラメータを評価した。得られた結果の考察のため、対向型励起を記述するマクスウェルブロッホ方程式を導出し、数値シミュレーションを進めている。また次のステップとして、ポンプとトリガに別のレーザーを用いることでそれぞれの周波数を独立に調整することを可能にした実験の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に着手し、対向型二光子放出の発生を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
信号が確認できたため、今後はその詳細の評価に移る。とくに周波数依存性やポンプ-トリガータイミング依存性、圧力依存性などが具体的な評価項目である。得られた結果と数値シミュレーションを組み合わせることで現象の理解を深める。当面はパラ水素ガスでの実験を進めるが、過去の研究から固体パラ水素の方が緩和が長いことがわかっており、固体パラ水素標的を用いた実験も検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と支出が異なっているが、全体としての研究計画自体に変更はなく、本年度も当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(2 results)