2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K14304
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山内 大介 神奈川大学, 工学部, 助教 (10624645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙ひも |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙マイクロ波背景輻射による初期宇宙モデルの検証のためには、揺らぎの発展を適切に解くことが必須となる。これにより、宇宙ひもによる小さな差異を観測から見出すことが可能になる。特に、宇宙マイクロ波背景輻射の重力レンズ効果は宇宙ひもの検証にとって重要な役割を演じると考えられる。一方で、重力理論によっても重力レンズ効果に大きな影響があることが期待されることから、これらの峻別のために、重力理論による寄与を定量的に見積もる必要がある。本年度は、ほとんど全ての暗黒エネルギー模型を包含する重力理論における宇宙マイクロ波背景輻射の振る舞いを初めて定量的に明らかにすることで、その観測可能性を探った。本研究により、重力理論の修正による重力レンズ効果への影響を明らかにすることが出来たため、宇宙ひもによる寄与との峻別に利用することが期待できる。 また、宇宙大規模構造の精密測定から宇宙ひもを探るためには、密度揺らぎの非線形進化に着目し、その進化を精密に予言することが必要になる。一般的な重力理論における密度揺らぎの非線形進化を解く手法を開発し、特に1ループまでの補正項を加えたパワースペクトルが標準宇宙論で予言されるものと大きく異なる可能性があることを初めて指摘した。宇宙ひもは密度揺らぎの進化に対して非線形な影響があることが知られていることから、宇宙大規模構造による探査において、宇宙ひもと重力理論の修正が競合する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の蔓延によって、計画していた共同研究施設への出張および国際研究会・国内研究会における研究成果報告を予定通り実施することが出来なかった。そのため、共同研究の進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を推進している解析については、内容を取りまとめ次第論文雑誌に投稿する。また新型コロナウイルス感染症の蔓延によって計画していた出張が実施できず、遅延している研究課題については、ウェブミーティングなどに切り替えることで2021年度中の完成を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度に当初参加を予定していた研究施設への出張および研究会への参加が新型コロナウイルス感染症の蔓延によって渡航不能や中止になり、研究施設出張費分および研究会参加費用分を2021年度に繰り越すこととしたため。
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