2018 Fiscal Year Research-status Report
トポロジカル絶縁体表面の熱電物性の直接観察とその解明
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17K14329
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松下 ステファン悠 東北大学, 理学研究科, 助教 (90773622)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 熱電物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年は、BSTS薄膜を用いた電界効果トランジスタ(FET)デバイスを作成し、キャリア密度を制御して熱電物性を測定するシステム開発、並びにSn-BSTS単結晶の熱電物性測定に従事した。前者では、室温から低温まで測定可能でFETシステムの構築を終え、室温での動作試験を行い、BSTS薄膜のキャリアを電子領域(n-type)からホール領域(p-type)にまで連続的に変化させることに成功した。後者では、3μmの比較的厚いバルク試料において、表面電子の輸送を示す量子ホール効果の観測に成功し、同時にゼーベック係数の測定にも成功した。量子ホール効果はバルクの抑制された表面支配の輸送を示す現象であり、その観測に成功したことで、表面状態の熱電物性についての詳細を議論することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に引きつづき行っているBSTS薄膜の熱電物性については、薄膜単体での測定をほとんど完遂し、残るはFETデバイスを用いたキャリア密度制御下での測定である。これについても、概要で示した通り、システム構築は完了し、現在測定中の段階にあり、本年度中の測定修了を十分に見込める。また、Sn-BSTSについては、薄膜化は断念したものの、バルク結晶での絶縁性が予想以上に高く、バルク結晶で表面伝導の議論を十分に行うことができることが判明した。そのため、こちらについても、本年度中に十分な成果が見込める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、引き続きBSTS薄膜のキャリア密度制御下での熱電物性測定、並びにSn-BSTS単結晶の熱電物性測定を行う。Sn-BSTSに関しては、薄膜化が困難であることから、剥離法を用いて100nm程度まで膜厚を薄くしてFETデバイスを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度購入予定であった蒸着用管状炉を購入したが、購入費が当初予定額より大幅に削減できたために次年度使用額が生じた。これについては、31年度に測定用の計器類を購入することに充てる計画である。
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