2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of electron orbital motion
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17K14333
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| Research Institution | Hiroshima University |
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Principal Investigator |
多田 靖啓 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (20609937)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 軌道効果 / 軌道角運動量 / 電子間相互作用 / 量子臨界現象 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子が空間的に運動することによって生じる量子効果について研究を行った。具体的研究課題として、第一にカイラル超流動体における軌道角運動量パラドックスの理論的解決を目指した。研究代表者は、自身らの先行研究によって明らかにされたCooper対の破壊効果による「不対電子」の存在に着目し、その議論をさらに一般的見地から整理した。つまり、この系における軌道角運動量を摂動に対して安定な熱力学的な量として定式化することは不可能であって、それゆえに、そもそも「カイラル超流動体には軌道角運動量というよく定義された物理量が存在している」という大前提が満たされないことを指摘した。また、最終年度においては、とくにDiracフェルミオン系における軌道反磁性について研究を行った。Dirac系における軌道反磁性については相互作用の無視できる場合には多くの先行研究があるが、相互作用が強い場合の振る舞いは知られていない。本研究では、2次元の短距離相互作用モデルにおいて、量子臨界点近傍で軌道反磁性がどのように振る舞うのかを数値計算を用いて調べた。その結果、このモデルを含むようなある種のクラスの場合には相互作用に対して反磁性は頑強であることが見出された。この結果は、magnetic catalysisとフェルミ速度の上昇という2つの現象がキャンセルすることによって起こると結論される。加えて、量子臨界点近傍での軌道反磁性は、古典臨界系における臨界的Casimir効果の磁気的・量子的アナロジーとしてとらえることができることを指摘した。
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